三春町は人口が約2 万人を数えますが、かつてはその約6 割が町外の医療機関で受診するという医療の過疎地区でした。しかし、患者さんにきちんと向き合うという野澤先生の診療方針が徐々に地域に受け入れられ、多くの患者さんがのざわ内科クリニックに来院するようになりました。
野澤先生が電子カルテの導入を考えたのは4 年ほど前のことです。その最大の理由は、紙カルテが増えて保管場所がなくなってきたことでした。その一方で電子カルテを使った場合、入力に気を取られて患者さんに向いて診察することが少なくなるのでは、という懸念がありました。「患者さんの正面を向いて話すことは私の方針」と言う先生にとって、電子カルテの導入をためらう大きな原因となっていました。そんな時に、「クラークを付ければ、ドクターは自分で入力する必要はない」という話を聞き、野澤先生は電子カルテの導入を決心したのです。
電子カルテの選定にあたっては、当時使っていた日医標準レセプトと連携できるメーカーと、医事一体型のメーカーの合わせて4 社にデモをしてもらいました。さらにあらかじめ作成しておいた80項目以上に及ぶ「電子カルテ選定のための評価項目」に従って全員で綿密にチェックしました。
野澤先生は、「項目ごとに評価した結果、メディコムの『Medicom-HRⅢ』を選ぶことに決定しました。医事一体型のため、それまで使用していたレセコンは不要になりますが、レセコン機能はとても優れていて、その選択は間違っていませんでした」とはっきり言います。
というのも、同クリニックの導入のための準備は周到だったからです。たとえば、事務スタッフにはメディコムのレセコンに慣れてもらうため、「Medicom- HRⅢ」をレセコンとしてだけ使う準備期間を取り、その後電子カルテへの移行を進めました。さらに「Medicom-HRⅢ」の導入前から事務スタッフにクラークを養成する勉強会に参加してもらいました。「最初は苦労したようで、仕事が終わってからも一生懸命に練習していました」と野澤先生は評価します。
さらに「電子カルテは初めての経験でしたから不安なことが多かったんですが、徐々に理解が進んでくるとみんなで要望を出し合い使い勝手を高めていきました。それは、私たちにとって使いやすい電子カルテは、結局患者さんのためになると思ったからです」と看護師、事務スタッフの皆さんは言います。
地域に根ざし地域医療の発展に情熱を傾けている野澤先生にとって、「Medicom-HRⅢ」の導入は、同クリニックの医療スタッフのレベルアップの機会になったようです。