医業承継のベストタイミングとは
理想とするタイミングを考えて事前の計画と準備を
結論から言うと、おすすめのタイミングとしては「現役で働ける内に」「収益が落ちていく前に」「承継後の仕事•生活の計画を立てた上で」という3点が揃っている状態が自身やご家族、譲渡者、患者や職員など地域に取って良い結果に繋がると考えます。
ただし、何歳まで開業医を続けたいか、どのタイミングで承継したいかは人それぞれ異なります。
最も大事なのは、自身の理想とする承継のタイミングを考えて、承継の計画・準備を行うことです。
承継の手続きにかかる期間はおおよそ最短で3ヶ月から約1、2年ですが、だからと言って、譲渡する1~2年前から考えればいいという話ではありません。
譲渡は譲受者がいてのことであって、またご家族や職員など周りで支えてくれている方々にも関係することですから、いわゆる「三方良し」と言う形の円満な承継に向けては予め充分な計画と余裕を持った準備が必要です。
閉院のほとんどは承継の準備不足
止むを得ず閉院する方の多くに「体力の続く限り院長を続けたい」「患者や職員を守りたい」という意志で院長を続けている中で、急な体調不良や衰えなどで突然数ヶ月〜1年以内に閉院せざるを得ないというケースが見受けられます。
ただしその場合、本来の「患者や職員を守ること」「通院できる場所・働ける場所を無くさないこと」が叶わなくなり、気持ち的にもハッピーリタイアとは違った形で廃業することになってしまいます。
こういった結果になってしまうのは、承継という考えはあったけれども具体的な計画や準備をしていなかったり、そもそも承継を考えるきっかけがなかったなどの場合が多いです。
また、閉院(廃業)についても、予めどれくらいの費用と手続が発生するか把握しておらず、突如として予測していなかった数百から一千万前後の出費掛かる場合があるため、どちらにせよ承継と廃業のどちらの選択肢を取るかを現役の内から比較検討をすることが重要です。
承継に良い条件とは
承継は譲渡者と譲受者の両者で成功させるものです。承継を成功させるベストなタイミングとしては、「自分にとってのベストな時期」の他に、「承継相手にとってのベストな時期」という要素も関わってきます。
譲受者にとってのベストタイミングとしては、「求めるクリニックの条件が最も良い時」ということになります。
例えば、収益が安定している(通院患者が多くいる)ことや、立地的に集患に有利などは条件が良いです。
集患以外にも、職員の業務の質が高いやレセプト処理能力が優れているということや、地域や近隣の医療機関との連携が良いというのも、譲受者にとってポイントが高いです。
承継のベストタイミングを見極めるには、相手が何を求めているのかを意識して、クリニックの価値を高めることが大切です。
患者離れを防ぐ「フェードイン•フェードアウト」の引き継ぎ
承継の成功の共通点としては、今の院長から次の担い手となる院長へ切れ目なく引き継ぎができていることです。
そのためには、承継前後の3カ月〜1年ぐらい間で、今の院長と次の担い手となる院長が同じクリニックで働き(週2〜3、4と徐々に勤務を減らす(現院長)・増やす(次期院長))、適切に情報共有しながら患者や職員にも負担・違和感がない様に診療や経営を引き継いでいくことが重要です。
医院を休診(外見上では閉院)せずこれまで通り診療を続けながら、患者や職員とコミュニケーションを取り関係性を築きながら徐々に経営を引き継ぐことで、次期院長への交代を受け入れることができます。
承継に際して現在の患者も引き継ぐ前提の場合、そういった点も含めた事業評価とされているため両者円満な承継及び承継後の経営において何より患者を繋ぎとめるというのは非常に大切なポイントとなります。
逆に、引き継ぎが決まるまでクリニックを休診すると患者が他医院へ移ってしまうため、お互いに承継のメリットを活かせない形となってしまいます。
ハッピーリタイアに向けて
なるべく自身のハッピーリタイアを目指した承継をするには、承継準備に1年〜2年ほどの期間が必要となります。
それは、なるべく医院が譲渡しやすく評価額も高い良い状態にすると言う点や、両者円満の承継となるため譲渡者・譲受者とのマッチングにも時間が掛かる可能性があるためです。
いずれにしても承継のタイミングというは、それぞれの引退したい年齢や、なるべく譲渡価額が高い状態で承継したいなど、それぞれの意向に合わせて計画と言うところになりますが、いずれにしてもそれに合わせて事前に承継の計画と準備を進めるという点が、ハッピーリタイアメントに向けて重要になります。
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