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医療テック記事 医師 事務長 2023.08.23 公開

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ChatGPTは医療を変えうるか?医療現場における活用の可能性

ChatGPTは、ユーザーがフォームに入力した指示文の内容を読み取って、AIが最適な回答を文章で出力するAIサービスです。2022年11月に公開されてから多くのユーザーに利用されており、個人だけでなく、ビジネスや公的機関でも導入され始めています。
ChatGPTは、医療機関における文書作成の効率化や、論文の検索・要約などに応用できる可能性も秘めており、医療従事者の業務負担を軽減するツールとしても期待されています。本記事では、医療現場におけるChatGPTの活用方法や注意したいリスクなどを解説します。

※本内容は公開日時点の情報です

#業務効率化

目次

ChatGPTとは?

ChatGPTは医療を変えうるか?医療現場における活用の可能性

ChatGPTとは、アメリカのOpenAIが開発した対話型のテキスト生成AIサービスです。用意されたフォームにユーザーがプロンプト(指示文)を打ち込んで送信すると、そのプロンプトに対してChatGPTに組み込まれた「自然言語処理モデル」と呼ばれるAIの一種が、自動的に最適な回答を生成してくれます。

ChatGPTに組み込まれている自然言語処理モデルは「GPTシリーズ」と呼ばれており、無料版にはGPT-3.5、有料版のChatGPT PlusにはGPT-4が使われています。GPT-4は特に精度が高く、アメリカの司法試験を突破できるほどの知能があるとされています。また2023年5月には、GPT-4に日本の医師国家試験の問題を解かせたところ、合格水準に達したとの結果も報告されました。

AIが自ら回答を学習して精度を高めるディープラーニング技術を使用しているため、基本的にはユーザーが使えば使うほど進化していくAIです。

ChatGPTができること

ChatGPTにできることの代表例として、次のようなものが挙げられます。

  • テキスト生成
  • プログラミング
  • 要約
  • 外国語翻訳

前述の「ChatGPTとは?」で解説したように、ChatGPTは入力したプロンプトに対してテキストを生成・出力するAIサービスです。例えば「りんごとはどういう果物?」と質問すると、りんごについての説明文を自動的にChatGPT上に蓄積されたデータベースから検索し、最適な回答を生成します。

他にも、「〇〇の機能を持つプログラムを作りたいのでコードを教えて」のように入力すると、プログラミングのコードを自動的に生成可能です。

加えて、長文を入力してその文章を簡単に要約させたり、日本語で入力した文章を他言語に翻訳したりすることもできます。

期待されている医療現場への活用方法

ChatGPTに備わっているテキスト生成機能は、診断書などの文書作成の効率化やクリニック・病院のホームページ制作サポートなど、医療現場にも活用が期待されています。また、論文の要約や英文翻訳、文献の検索の効率化などにも応用できるでしょう。

ChatGPTをうまく活用することで、医療従事者の業務負担を軽減、業務効率化につなげられます。ここでは、ChatGPTに期待されている医療現場への3つの活用方法について解説します。

診断書など文書作成の効率化

診断書など文書作成の効率化は、ChatGPTに期待されている活用方法の一つです。患者さんの症状の説明や処方薬の説明文のたたき台をChatGPTで作成し、医療従事者が手直しするだけで、簡単に文書作成を完結させられる可能性があります。

従来の医療現場における文書作成は、医師や看護師、薬剤師などの医療関係者が1から入力する必要があります。作成する文書の数が増えるほど労働負担は増加し、他の業務に割り当てられる時間が少なくなる恐れがあるでしょう。

ChatGPTを活用して、たたき台を作れるようになれば、文書作成の時間を大幅に削減し、他の重要な業務に多くの時間を振り分けられるようになります。

クリニックや病院のHPの制作サポート

クリニックや病院のホームページの制作サポートも、ChatGPTに期待されている使い方です。患者さん向けの院内広報や自院のブログなど、周知したい情報のベースとなる文章をChatGPTで生成し、生成された内容を添削することで、簡単に情報発信を行えるようになる可能性があります。

また、医療関係の論文をChatGPTに入力し、要約させることによって、論文の内容を簡単に把握する上で役立ちます。特に医療関係の論文は海外発のものも多いため、ChatGPTを活用して日本語に翻訳し、その上で論文全体を要約するなどの使い方もできるでしょう。

ChatGPTは情報発信・情報収集の双方を効率化するツールになる可能性が期待されています。

論文の要約や英文翻訳、文献検索の手間を効率化

ChatGPTを活用することで、論文の要約や英文翻訳、文献検索の手間の効率化につながる可能性もあります。

ご自身が必要としている医療関係の論文をWeb上から検索するためには、適切な検索ワードを何度か試したり、内容を精査して求めている論文かどうかを確かめたりする手間がかかります。しかし、ChatGPTに読みたい論文の内容を入力し、該当する論文を探してほしいと依頼するだけで、最適な論文をピックアップしてもらうことが可能です。

また、見つかった論文をそのままChatGPT上で要約したり、翻訳したりすることもできるため、文献の検索・閲覧にかかる一連の作業を大きく効率化できます。

ただし、ChatGPTは2021年9月までの情報しか学習していないため、無料版のGPT-3.5では最新の論文を取得できない点には注意が必要です。有料版のGPT-4ではWeb上からリアルタイムな情報を取得する「Webブラウジング機能」を使用できるため、最新情報の検索が必要な場合は有料版のChatGPT Plusを契約しましょう。

ChatGPTを使いこなすためのポイント

ChatGPTを使いこなすためには、ユーザーが入力するプロンプトが重要になります。ユーザーが求める回答を正確に得るためには、プロンプトにも正確性が必要になるということです。

求めている回答をChatGPTから正確に返してもらうためには、入力するプロンプトにもできるだけ正確な要求を伝える必要があります。例えば、ある論文を要約してほしいと考えているとき、プロンプトには要約したい論文の内容を入力した上で、下記のように入力する例が考えられます。

【この論文を〇〇字程度で要約してほしい】

「〇〇字程度で」と具体的に指示をしている点がポイントです。

また、【〇〇という医師が発表している、△△の症例に関して書かれている論文を探してほしい】など、具体的に指示をすることが、求めている情報を正確に取得するコツとなります。

ChatGPTを医療現場で利用するときのリスクとは?

ChatGPTは便利なAIサービスですが、医療現場で扱うにあたって、次のようなリスクも考えられます。

  • 個人情報漏えいのリスク
  • 誤った情報を伝えるリスク
  • 著作権侵害のリスク

ChatGPTはユーザーが入力した回答をデータベースに蓄積し、精度を高めています。そのため、患者さんや従業員の個人情報などを安易に入力すると、他のユーザーの回答にその個人情報が表示されてしまい、情報漏えいにつながる恐れがあります。

また、ChatGPTによって出力された情報の真偽を確かめないまま使用して、誤った情報に気がつかずに発信してしまい、信頼を失う危険性にも注意が必要です。

さらに、出力された情報が著作権で守られているものかどうかを十分に確認し、著作権侵害に該当しないようにチェックする必要もあります。ChatGPTは便利なツールですが、利用にあたっては上記のようなリスクを考慮し、細心の注意を払うことが大切です。

ChatGPTを実際に利用した具体的事例

2023年7月時点で、既に医療機関でChatGPTを利用している例がいくつかあります。

例えば、ある病院では、ChatGPTを論文検索に活用しています。ChatGPTを活用することで、より多くの医療関連の論文を効率的に収集でき、医療品質の向上に寄与するという考え方からChatGPTを活用しているようです。

ただし、ChatGPTで出力された論文の内容や正確性については医師の判断を仰ぎ、慎重に判断する必要があることにも言及されています。ChatGPTが出力した情報は必ずしも正確であるとは限らないため、その情報が正しいかどうかを判断するプロセスが必要です。

AI技術の進歩によって医療従事者の業務負担が軽減される

ユーザーが入力したプロンプトに従って、自動的に最適な回答を出力するChatGPTは、医療現場においてもさまざまな場面で活用が期待されているAIサービスです。AI技術の進歩によって、医療従事者の業務負担が軽減される可能性があります。

現段階でも多くの医療機関や医師がChatGPTを取り入れ始めていますが、今後はさらに導入範囲が広がっていくことでしょう。論文の検索や要約、翻訳、文書作成の効率化など、現場に合った使い方の事例が今後ますます増えていくと期待されます。

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