金沢大学 がん進展制御研究所の概要
金沢大学 がん進展制御研究所は1967年に設立された、がん研究に特化した国立大学附置研究所です。
悪性化・転移・薬剤耐性などの分子機構解明を中心に、新たな診断法・治療法の開発を進めています。
河野晋先生の研究紹介
河野先生は、がん細胞が状況に応じて代謝経路を切り替える仕組みに注目し、解糖系が活性化する背景についても多角的に研究を進めています。
生物工学や情報科学を組み合わせ、細胞の代謝フローを定量的に捉える研究を展開しています。
代謝研究におけるLiCellMoの位置づけ
がん細胞の代謝は、エネルギー獲得にとどまらず、未分化性・悪性化の制御や微小環境との相互作用にも関与します。
これらを理解するためには、代謝の時間変化を観察できる測定手法が重要です。
河野先生は LiCellMo を使用した際、次のようにコメントされています
短時間の測定では捉えられない代謝の推移を確認できる点が強みとして挙げられました。
LiCellMo の主な特徴
■ 長期間の連続測定
インラインセンサーにより、グルコース・乳酸を最大10日間連続測定できます。
■ 測定途中の介入
一時停止して培地交換や試薬添加を行い、その応答をリアルタイムで確認できます。
■ 通常の培養環境での測定
測定系に大きな条件変更を加えずに、通常の培養環境で代謝変化を観察できる点も特徴です。
研究での活用場面
LiCellMo は、遺伝子ノックアウトや、グルタミン・ピルビン酸などの化合物添加によるグルコース消費と乳酸産生の変化を確認する際に用いられました。
グルコース消費と乳酸産生のバランスから、ミトコンドリア活性を間接的に把握する手がかりにもなっています。
他の解析システムとの使い分け
河野先生は複数の代謝解析ツールを研究目的に応じて使い分けています。
他の解析システムと比較してLiCellMoは、
• 通常の培養環境に近い状態で観察できること
• 安定したデータが得られやすい操作性
を特徴として挙げられています。
とコメントされており、LiCellMo は研究経験の差に左右されにくい操作性も特徴のひとつです。
ユーザーインターフェース(UI)の評価
• タッチパネルで直感的に操作できる
• テンプレート作成〜測定完了までの流れが分かりやすい
• 測定中でもリアルタイムでデータ確認が可能
一方で、LiCellMo の自由度の高さゆえに「どの条件を選べばよいか迷う場面がある」との声もありました。
そのため、特にがん細胞において、細胞種ごとの推奨細胞数・培地条件リストがあると、より実験しやすくなるとの改善希望が挙げられました。
LiCellMoのデータ精度と再現性
安定したデータが得られることは、代謝研究における信頼性の向上や、実験コスト削減に直結します。
24ウェルのスケールの利便性
と評価されています。
今後の展望
LiCellMo は、時間軸の変化に注目したい研究において、既存の解析手法を補う“もうひとつの視点”として活用できる可能性を持っています。
研究内容に応じて使い分けることで、細胞代謝の理解がさらに深まる場面も場面が生まれると期待されます。