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企業健康経営 人事・総務 コメディカル 2024.02.09 公開

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【津下先生解説】より良い行動計画立案のために保健指導者に求められることとは vol.5

第4期特定健診・特定保健指導制度が2024年4月から開始されます。ウィーメックスはまもなく開始される第4期に向けて指導品質の向上のためのセミナーを開催し、第1期より厚生労働省等の検討会委員を務めている女子栄養大学特任教授の津下一代先生に解説いただきました。本コラムでは、講演内容のポイントをさらに詳しく解説いただき、連載でお届けいたします。今回は12月15日開催のセミナーから、『対象者の理解』がもたらす特定保健指導の効果について教えていただきました。

※本内容は公開日時点の情報です

#医療政策

目次

Q1.対象者を理解することはどのようにアウトカムに繋がりますか。対象者を理解した介入を行うことの意味について詳しくお聞きしたいです。

A.保健指導のアウトカムとは、対象者の行動の変化、健康状態の改善を指します。特定保健指導では内臓脂肪の減少を目指しますので、内臓脂肪の減少(腹囲、体重の減少)や内臓脂肪の減少に至る生活習慣の変化(=食生活、運動等の行動変容)を評価します。

【津下先生解説】より良い行動計画立案のために保健指導者に求められることとは vol.5

行動変容のためには、まずは意欲(モチベーション)を高めることが第一歩です。対象者自身が減量の意義を感じられるような説明をすること、具体的な実施方法のヒントを提供することが求められます。
ここでは会話の中から対象者の理解度や関心を確認し、本人が気にしていることについては、より丁寧に説明することで理解を深めることができます。本人がこれまで取り組んできたこと、取り組めそうと思っていることを把握することも重要です。本人の経験を活かしながら、納得できる行動目標を立てることにつながります。

せっかくモチベーションが高まったとしても、長続きしなければ期待するアウトカムにつながりません。対象者の生活状況を把握したうえで、どんな生活習慣なら無理なく見直せそうかを考えていきます。また、対象者が活用できる健康支援の手段(運動施設や会社の食堂)、応援団(家族、会社)の状況を知ることで、それらの活用を促すことができます。

このように対象者の検査値だけでなく、その理解度やこれまでの取組、生活環境などを保健指導者が把握することで、よりよい行動計画づくりに役立つと考えられます。
保健指導は「教科書やガイドラインに記載されている望ましい生活習慣」を一方的に説明することではなく、「根拠を抑えつつも、対象者にとって有益な情報」を引き出し、提案する作業と考えてみてはいかがでしょうか。

対象者を理解した介入を行うことの意味

Q2.「保健指導者と約束した行動目標について評価をする」とご説明いただきましたが、目標を立てていないと評価をできない理由について教えていただきたいです。行動計画になくても食行動を変える中で運動にも前向きになった方や、運動を実践する中で食行動も変わってきた方もいるため、今後の対応策を考えたいと思っております。

A.そうですね。初回面接の後、本人のモチベーションが高まり、日常生活でさまざまな工夫がなされたことでしょう。
しかし、今回のルールでは、「行動計画にない生活習慣の見直しは評価しない」ことになりました。その行動変容が特定保健指導の目的に合った安全な方法かどうか、確認できないためと思われます。
例えば「テレビを見て〇〇ダイエットをした」などの場合、体重減量効果は期待できるものの栄養面では偏りがあるケースや、「本人の体力からみて運動強度が高すぎる運動を始めた」などのケースなど、健康面では望ましくない行動もありうるからです。

本人の意欲を生かしつつ成果を出すためには、保健指導者と相談の上、行動計画を変更することを本人に伝えておくことが必要です。保健指導者は新たな計画の安全性や効果などについて助言したうえで、行動計画を修正することにより、よりよい継続支援につながることが期待されます。

Q3.初回面接で集団指導をする場合、個々の対象者を理解することや行動変容を促すことが難しいと感じています。集団指導ならではの留意点や事前準備などはありますか。

A.集団指導では十分な時間が確保できますので、検査値の読み方を説明したり、食事の改善法、運動の実施方法など、体験も含めた学習ができたり、などのメリットがありますが、一人ひとりに目が届きにくいというデメリットの克服が必要ですね。

集団指導の場合には、事前のアンケートで参加者の関心度を確認しておくこと、健診結果から重点的に説明したい共通事項を選択しておくことが大切です。指導中には本人が理解したこと、感想やアイデア、行動計画などをワークシートなどに書き込んでもらいながら進めていくのがよいでしょう。パートごとに質問の時間を取ったり、経験談を話してもらったりと、双方向で進めるような展開を考えます。

集団指導のあと、個人的な質問に対応する時間も確保すべきです。ワークシートの記載が前向きではない場合には、保健指導者側から声がけし、行動変容ステージを考慮した相談を行うことが重要です。

▽前回のコラムをご覧になりたい方はこちら
https://www.phchd.com/jp/medicom/park/idea/healthmanage-point-04
▽関連資料
『対象者を正しく理解するスキルの習得』
https://go.medicom.phchd.com/wellsportstep_seminar_material_20231215(PDF)

筆者情報

津下 一代

津下 一代(つした かずよ) 様

女子栄養大学 特任教授

名古屋大学医学部医学科を卒業後、国立名古屋病院内科、名古屋大学第一内科での臨床・研究活動を経て、平成4年愛知県総合保健センターに勤務。
12年あいち健康の森健康科学総合センター、23年より同センター長兼あいち介護予防支援センター長に就任。令和2年より女子栄養大学特任教授として活躍。

健康日本21(第三次)推進専門委員会、健診・保健指導の在り方に関する検討会などの厚生労働省等の委員、健康・医療新産業協議会・健康投資WGなどの経済産業省の委員を務めるなど、多方面で活躍。

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