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クリニック経営 医師 事務長 2026.01.30 公開

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クリニック経営難の前兆と脱出策|確認用チェックリストを紹介

近年、クリニック経営を取り巻く環境は厳しさを増しています。経営難の背景には、人件費の増大や診療報酬改定の影響など複数の要因が重なり合っている状況です。本記事では、クリニックが経営難に陥る具体的なパターンや前兆、原因、そして生き残るための対策をお伝えします。一目で対策が確認できるチェックリストも紹介しているため、参考になさってください。

※本内容は公開日時点の情報です

#事業計画 #開業直後の悩み #業務効率化 #マネジメント

目次

クリニックが経営難になる主な3つのパターン

近年のクリニック経営を取り巻く環境は、かつてないほど厳しさを増しています。東京商工リサーチの調査では、病院・クリニックの倒産は2025年1~11月で33件と、過去20年でも高水準の状況です。

クリニック経営難の前兆と脱出策|確認用チェックリストを紹介
出典:株式会社東京商工リサーチ「病院、介護事業者の倒産急増=2025年を振り返って(7)2025/12/30」(https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1202242_1527.html

経営難に陥るクリニックには、主に3つのパターンが存在します。次期診療報酬改定でも焦点となる内容のため、あらためて把握しておきましょう。

なお、2026年度診療報酬改定の基本方針を解説したセミナーを用意しているため、情報収集の1つとしてご活用ください。

セミナー視聴はこちらから:2026年度診療報酬改定のゆくえ~基本方針から読み解く~

パターン①コスト増加に伴う収益減

近年最も深刻化しているパターンが、コスト増加に伴う収益減です。公定価格に依存する診療報酬収入は固定されている一方、物価高騰により医薬品費・医療材料費・光熱費・人件費などの支出が増大しています。

収入と支出のアンバランスにより、収益が確保できなくなり、廃業も余儀なくされるクリニックが増えているためです。

帝国データバンクの調査では、倒産した医療機関の主因として「収入の減少(販売不振)」が41件と全体の64.1%を占めています。

出典:株式会社帝国データバンク「医療機関の倒産・休廃業解散動向調査(2024年)」(https://www.tdb.co.jp/report/industry/20250122-iryoukikan/

また、福祉医療機構の診療所の経営分析参考指標でも、個人・法人ともに経常収益対経常利益率が前年度比でマイナスの実態が明らかになっており、公定価格と物価高騰のミスマッチは深刻な問題となっています。

出典:独立行政法人福祉医療機構「2024年度(令和6年度)決算診療所の経営分析参考指標の概要について」(https://www.wam.go.jp/hp/wp-content/uploads/pr2539.pdf

パターン②医師偏在による競合激化

2つ目のパターンは、医師偏在による競合の激化です。厚生労働省が公表した医療施設調査では、2024年の一般診療所施設数は、2023年より300件強増加しました。

パターン②医師偏在による競合激化
出典:厚生労働省「令和6(2024)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/24/dl/02sisetu06.pdf

とくに、首都圏をはじめとする都市部に所在を構えているクリニックでは、需要と供給のバランスが崩れやすく、供給量が上回り患者数が確保しづらい状況になりつつあります。

厚生労働省の調査では、患者さんは診察までの待ち時間を不満に感じやすい傾向がみてとれます。数あるクリニックのなかから、選ばれるためには待ち時間対策の優先度が高いといえます。

パターン②医師偏在による競合激化
出典:厚生労働省「令和5(2023)年受療行動調査(確定数)の概況 」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jyuryo/23/dl/kakuteisu-gaikyo2023.pdf

パターン③高齢化・後継者不在

3つ目のパターンは、院長先生の高齢化と後継者の不在です。帝国データバンクの調査によれば、全国の診療所経営者のうち70歳以上が54.6%と過半数を占めています。

出典:株式会社帝国データバンク「医療機関の倒産・休廃業解散動向調査(2024年)」(https://www.tdb.co.jp/report/industry/20250122-iryoukikan/

また、日本医師会の調査では「後継者候補はいない」との回答が最多と、後継者を探すのが困難な状況も深刻です。

パターン③高齢化・後継者不在
出典:日本医師会総合政策研究機構「日本医師会医業承継実態調査:医療機関経営者向け調査3.4 後継者の有無と意思確認の状況」(https://www.jmari.med.or.jp/wp-content/uploads/2021/10/WP440.pdf

見逃してはいけない経営難の前兆

経営難に陥る前の前兆を早期に気づき対策を講じれば、経営悪化を防げる可能性があります。ここでは、注視しておきたい3つの兆候をお伝えします。

収益の低下

最初の兆候は収益の低下です。売上は変わらないものの、光熱費や賃金増に伴い、利益が残らない状態になります。福祉医療機構の調査によれば、一般診療所の事業収益対事業利益率は2023年度から2024年度にかけて個人でマイナス3.5ポイント、医療法人でマイナス3.1ポイントと、収益構造の悪化が進んだ結果を表しています。

収益の低下① 収益の低下②
出典:独立行政法人福祉医療機構「2024年度(令和6年度)決算分(ダイジェスト版)診療所の経営状況」(https://www.wam.go.jp/hp/wp-content/uploads/2024_shinnryojo_shihyouD.pdf

月次の損益を確認し、売上総利益率や営業利益率が低下していないか注視しましょう。人件費をはじめ、医業収益に対する固定費の割合が増加傾向にある場合は要注意です。また、1患者あたりの診療単価が低下している場合も、収益性が悪化している兆候として把握が必要です。

資金繰りの悪化

2つ目の兆候は資金繰りの悪化です。貸付へ頼る状況や賞与をカットせざるを得ない状態は、危険信号といえます。

月末の支払いに対して手元資金が不足する、借入金の返済が滞りそうになる、スタッフの給与支払いに不安を感じる状況が続いたら、早急に根本的な対策が必要です。

キャッシュフローの管理が行き届いていないクリニックでは、帳簿上は黒字でも手元資金が枯渇する「黒字倒産」のリスクがあります。医療機器などの設備投資やレセプトの査定・返戻による回収遅延などが原因で、実際の現金が不足してしまう状態が代表例です。

信用の低下

3つ目の兆候は信用の低下です。スタッフの離職による医療の質低下や、待ち時間に対する不満が募ると患者さんからの信用が低下し、患者数減少にもつながってしまうでしょう。

とくに、優秀なスタッフが次々と退職する状況は、経営難の明確な兆候です。離職の理由が給与水準の低さや労働環境の悪化、将来への不安である場合、経営の構造的な問題が指摘されているといえます。

クリニックが経営難になってしまう4つの原因

経営難の前兆が現れる背景には、構造的な原因があります。原因を正確に把握し、根本から解決しなければ、一時的な対症療法では経営改善は望めません。現在のクリニック経営を取り巻く環境を理解し、適切な対策を講じましょう。

公定価格とコスト高騰のミスマッチ

最たる根本的な原因は、公定価格とコスト高騰のミスマッチです。診療報酬は国が定める公定価格のため、クリニック側が自由に価格設定できません。

一方で、医薬品費・医療材料費・光熱費などのコストは市場価格に連動して上昇するため、収支バランスが崩れやすい構造といえます。

2026年度の診療報酬改定率は30年ぶりのプラス3%と決定しましたが、並行してコストも増えているため、公定価格と物価高騰のミスマッチは今後も経営者の頭を悩ませるでしょう。

人件費の高止まりと採用コストの増大

2つ目の原因は、人件費の高止まりと採用コストの増大です。四病院団体協議会の調査でも、2025年の賃上げ率は一般産業が5%程度と高水準であったなか、病院の賃上げは2.51%と半分程度におさえられている状況が明らかになっています。

人件費の高止まりと採用コストの増大
出典:公益社団法人前日本病院協会「2025年度医療機関における賃金引き上げの状況に関する緊急調査」(https://www.ajha.or.jp/topics/4byou/pdf/250626_1.pdf

人材不足が深刻化するなか、スタッフを確保するには賃上げが求められている情勢です。しかし、診療報酬で賃上げ分の原資を確保するためには、全面的な工夫が必要です。

機能分化と患者ニーズの変化

3つ目の原因は、機能分化と患者ニーズの変化です。2025年4月から始まった「かかりつけ医機能報告制度」のデータをもとに、今後機能分化が進むと予想されます。厚生労働省の資料によれば、2025年をピークに外来患者数は減少する見込みで、すでに2020年までにピークを迎えている医療圏も多い状況です。

機能分化と患者ニーズの変化
出典:厚生労働省「新たな地域医療構想について」(https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001328814.pdf

また、患者さんは接遇面のなかでも、待ち時間や診療時間に対して不満を抱く傾向が明らかです。限られた診察時間の中で目標とする患者数を診察するためには、計画的な運営設計と具体的な対策が求められます。こうした対策が十分でない場合、新患数が徐々に減少していくリスクも否定できません。

医療DXへの対応遅れ

4つ目の原因は、医療DXへの対応遅れです。2025年12月5日に医療法等の一部を改正する法律が成立し、医療DXの推進が正式な形で盛り込まれました。

医療DXへの対応遅れ
出典:厚生労働省「医療法等の一部を改正する法律の成立について(報告)」(https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/001606327.pdf

デジタル化への対応や既存の医療機器更新など、時代に即した運営が維持できないと、効率性の低下や若い世代の患者層から選ばれなくなる可能性があります。たとえば、予約システム(Medicom 診療支援など)で待ち時間を短縮できると、患者さんに着目してもらいやすくなるでしょう。

また、医療DX推進体制整備加算や医療情報取得加算など、DXに対応すれば算定できる点数を取りこぼすと、経営面でも影響を及ぼすため、確実な算定体制が必要です。

クリニックが生き残るために講じたい対策チェックリスト

経営難に陥らないため、あるいは経営難から脱却するためには、開業前と開業後で適切な対策を講じる必要があります。ここでは、開業前と開業後で実施すべき具体的な対策をチェックリスト形式でまとめました。より詳細な内容を解説したセミナーやお役立ち資料、コラムにも遷移できるため、ご活用ください。

開業前の対策チェックリスト

開業前の準備段階で講じられる対策は、経営の成否を大きく左右します。以下のチェックリストを活用し、リスクを最小限におさえる参考になさってください。

    • 患者数が想定を下回る、コストが想定を上回るケースを想定
    • 3年後・5年後の収支シミュレーションを複数パターン作成
    • 最も保守的なシナリオでも継続可能な計画を策定
    • 診療圏分析で見込み来院患者数を把握
    • 人口動態、競合状況、アクセス、賃料を総合的に判断
    • 国策を踏まえた需要把握(在宅医療ニーズが高い地域など)
    • 2025年以降の外来患者数減少を見据えた選定
    • 月次・年次の損益分岐点を算出
    • 最低限必要な患者数や診療単価を明確化
    • 固定費と変動費を正確に把握
    • 内科クリニックの一般的な初期費用は5,000〜8,000万円
    • 建設面積を狭め、電子カルテはクラウド型を選択
    • 医療機器は必要最低限に絞り、運用後に段階的導入
    • 豪華な内装より診療の質と接遇で評価を高める戦略
    • 専門医資格取得、学会発表、論文執筆で専門性を確立
    • 他院では対応できない検査や処置を習得
    • 専門性により診療単価向上と紹介患者獲得を実現
    • 電子カルテ、予約システム、キャッシュレス決済を導入
    • 医療DX推進体制整備加算の算定を見据えた設計
    • 最低6か月分、できれば12か月分の運転資金を確保
    • 資金繰りに余裕をもたせ想定外の出費に対応

開業後の対策チェックリスト

開業後も継続的に経営改善に取り組む必要があります。以下のチェックリストを具体策の参考になさってください。

    • スタッフ増員の前に業務プロセスを見直す
    • 電子カルテ、予約システム、Web問診で業務効率向上
    • 人を増やすのではなくシステムで効率化
    • 人件費率や固定費率をチェック・管理
    • 医療材料の過剰在庫削減、適正な発注サイクル確立
    • 複数業者からの相見積もりで材料費削減
    • 光熱費や通信費の契約内容見直し/li>
    • IT導入補助金、働き方改革関連助成金などを活用
    • 制度面と運用面から現実的なスケジュールを立案
    • 福祉医療機構の医療融資を検討
    • 近隣病院や専門クリニックとの協力関係構築
    • 在宅医療・訪問診療で収益を多角化
    • 2025年以降の外来患者数減少に備えた体制転換
    • 健康診断、予防接種、美容医療など収益源を多角化
    • 診療報酬に依存しない経営基盤を構築
    • 法人化、役員報酬の設定、退職金制度の活用
    • 医療機関特化の税理士に相談

まとめ

クリニック経営は、コスト増加、医師偏在、高齢化などの要因により厳しさを増しています。しかし、経営難の前兆を早期に察知し適切な対策を講じれば、経営の改善は十分に見込めます。

目先の収益だけで判断せず、3年後・5年後を見据えた経営戦略を立て、自身の技術を高めながら持続可能な体制を構築しましょう。開業検討や開業後のお悩みに応える情報を以下の特集ページでまとめてご紹介しているため、参考になさってください。

クリニック開業ガイド

著者情報

武田 直也 様

フリーランスWebライター。18年間、医療事務として合計3つの医療機関に従事。診療報酬をはじめ、診療情報管理士の資格を活かしたカルテ監査やDPCデータ分析、クリニカルパスなどの医療情報利活用に精通している。

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