3. 開業医の平均年収
では、その開業医の平均年収について解説をします。
(1)統計データ
まずは、統計データです。以下は、令和元年に実施をされた医療経済実態調査の各診療科目別の損益差額(個人診療所入院診療収益なし)です。
個人診療所 各診療科目別(入院収益なし)損益差額 単位:(千円)
出典:中央社会保険医療協議会「第22回医療経済実態調査 (医療機関等調査) 報告 -令和元年実施- p.149~151」
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内 科 |
小児科 |
精神科 |
外 科 |
整形外科 |
産婦人科 |
眼 科 |
耳鼻咽喉科 |
皮膚科 |
その他 |
全 体 |
個人 |
24,240 |
30,681 |
25,879 |
19,774 |
29,888 |
18,343 |
15,119 |
18,905 |
27,099 |
23,550 |
23,742 |
・内科の平均年収
内科を主とするクリニックの開業医の年収は、2,424万円となっていますので平均より高い傾向にあります。
・小児科の平均年収
小児科を主とするクリニックの開業医の年収は、3,068万円となっていますので他の診療科よりも1番高い傾向にあります。
・精神科の平均年収
精神科を主とするクリニックの開業医の年収は、2,587万円となっていますので内科や平均よりも高い傾向にあります。
・外科の平均年収
外科を主とするクリニックの開業医の年収は、1,977万円となっていますので平均よりも低い傾向にあります。
・整形外科の平均年収
整形外科を主とするクリニックの開業医の年収は、2,988万円となっていますので小児科に次いで2番目に高い傾向にあります。
・産婦人科の平均年収
産婦人科を主とするクリニックの開業医の年収は、1,834万円となっていますので平均よりも低い傾向にあります。
・眼科の平均年収
眼科を主とするクリニックの開業医の年収は、1,511万円となっていますので他の診療科よりも1番低い傾向にあります。
・耳鼻咽喉科の平均年収
耳鼻咽喉科を主とするクリニックの開業医の年収は、1,890万円となっていますので平均よりも低い傾向にあります。
・皮膚科の平均年収
皮膚科を主とするクリニックの開業医の年収は、2,709万円となっていますので内科や平均よりも高い傾向にあります。
・その他診療科の平均年収
その他診療科のクリニックの開業医の年収は、2,355万円となっていますので平均よりも若干低い傾向にあります。
全体平均で約2,374万円の報酬を得ていることとなり、これは勤務医の平均年収1,491万円(第22回医療経済実態調査結果報告に関する分析)と比較して多いです。
(2)統計データに拘り過ぎてはいけない
もちろん、上記の数字をあまり参考にしすぎる必要はありません。あくまでも平均であり、実際には勤務医の報酬以上に、クリニックによるばらつきが見られます。また経営が軌道に乗っているクリニックは医療法人成りをしている可能性が高いです。医療法人の場合は、経営者の報酬も経費になり、その他の節税を行っているため、こういった統計では正確な利益(代表の方の所得)を計るのは難しいです。