#開業検討 #機器選定ポイント #業務効率化 #紙カルテの電子化 #システム入替
目次
電子カルテの比較ポイント5選
電子カルテを選ぶ際には、費用や機能だけでなく、診療スタイルや施設規模との相性まで含めて検討する必要があります。5つの比較軸をもとに情報を整理したため、自院に合った選択の参考になさってください。
クラウド型とオンプレミス型の違い
電子カルテは大きく、インターネット経由でデータを管理する「クラウド型」と、院内サーバーにデータを保存する「オンプレミス型」に分かれます。
クラウド型は初期費用をおさえやすく、場所を問わずカルテを参照できる点が特長です。費用は製品・診療規模によって異なりますが、月額数万円台のプランが多く見られます(別途、初期費用が発生する場合があります)。
一方、オンプレミス型は自院サーバーにデータをもつため、ネットワーク環境に左右されにくく、既存の医療機器との連携実績が豊富です。初期費用は数百万円規模になる場合もあり、維持費用含めたトータルコストの把握が必要です。
なお、国は医療DXサービスに対応する電子カルテの普及を方針に掲げました。政策への対応もこれから検討を進めるうえでの比較要素に挙げられるでしょう。
出典:厚生労働省「電子カルテの普及について(第28回 健康・医療・介護情報利活用検討会 医療等情報利活用ワーキンググループ 資料1)P7」(https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001657580.pdf)
レセコン一体型と分離型の違い
電子カルテとレセプトコンピューター(レセコン)の組み合わせ方にも、「一体型」と「分離型」があります。
一体型はカルテと請求業務を1つのシステムで完結でき、初期費用・月額費用を1社分にまとめられる点がメリットです。
分離型はORCA(日医標準レセプトソフト)※など別システムと連動させて運用します。月額費用をおさえられるケースもある一方、2システム分の保守費用や連携調整コストも合算した比較が必要です。
どちらが適しているかは、自院の規模や運用体制によって変わります。スタッフの教育コスト含めた総コストで試算のうえ、比較を進めましょう。一体型と分離型についてより詳しく解説した記事も用意しているため、あわせて参考になさってください。
※ORCAは日本医師会ORCA管理機構株式会社が運営する、「日医標準レセプトソフト」です。
紙カルテと電子カルテの違い
紙カルテは初期コストが低く操作習得も不要ですが、記録の検索性・情報共有・診療報酬改定への対応という点では電子カルテに劣る側面があります。
一方の電子カルテは、セキュリティ対策やシステムトラブルへの備えなど、紙カルテとは異なる留意点への配慮が必要です。
電子カルテへの移行を検討する際には、紙カルテとの違いを整理したうえで、業務フロー全体の変化を見据えた計画が欠かせません。紙と電子の違いについてまとめた記事も用意しているため、カルテ運用の一助としてご活用ください。
診療科特性・施設規模との適合性
電子カルテに求める機能は、診療科や施設規模によってさまざまです。たとえば、眼科や皮膚科では、専用の検査機器との連携や特定の記録テンプレートを活用するなどのケースが挙げられます。
また、単科クリニックと複数科をもつクリニックとでは、求められるカルテの構造も変わります。導入前には自院の診療スタイルと照合しながら、デモ操作で実際の使い勝手を確認するステップが必須です。複数診療科の開業医の声をまとめたお役立ち資料も用意しているため、選定ポイントの参考にお役立てください。
出典:厚生労働省「令和 6年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(令和7年度調査)医療DXの実施状況調査P23・24」(https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001608407.pdf)
サポート体制と導入後のフォロー
電子カルテは導入して終わりではなく、診療報酬改定への対応や日常的なトラブルへのサポートが長期にわたり必要です。比較の際には、電話・リモート・オンサイトなどサポートの対応形態と、改定時のシステム更新費用が追加で発生しないかも確認しておきましょう。
乗り換えを検討している場合は、現行システムからのデータ移行支援や稼働継続期間中のサポート引き継ぎ体制についても、導入前に確認しておくと安心です。サポート内容の詳細について解説した記事もご活用ください。
電子カルテの現状と政策動向
電子カルテをめぐる環境は、政府の医療DX推進とともに急速に変化しています。導入の判断に際して、現状の普及状況と今後の政策動向をあらかじめ把握しておくと、より的確な判断につながります。
クリニック・病院の普及率
2025年11月21日に開催された中央社会保険医療協議会総会(第629回)で報告された医療DXの実施状況※によると、電子カルテの導入率は病院で77・7%、診療所で71.0%です。
※調査対象:保険医療機関のうち、医療 DX 推進体制整備加算を届出している診療所(電子処方箋対応あり)から 500 件、医療 DX 推進体制整備加算を届出している診療所(電子処方箋対応なし)から 500 件、同加算を届出していない診療所から 1,000 件をそれぞれ無作為抽出した。また、急性期充実体制加算 1 又は2 を届出している病院から 163 件を悉皆で抽出した。さらに、急性期充実体制加算 1 又は 2 を届出していない病院のうち、医療 DX 推進体制整備加算を届出している病院(電子処方箋対応あり)から 459 件、医療 DX 推進体制整備加算を届出している病院(電子処方箋対応なし)から 459 件、同加算を届出していない病院から 919 件をそれぞれ無作為抽出した。調査客体は合計で4,000 件とした。
回 答 数:1539 件
回 答 者:開設者・管理者
出典:厚生労働省「令和 6年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(令和7年度調査)医療DXの実施状況調査P23・24」(https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001598457.pdf)
電子カルテを導入する施設は右肩上がりの傾向です。一方で、日本病院会が2025年8月に公表した紙カルテ利用の診療所を対象とした調査では、54.2%(有効回答数5,466件)の診療所が電子カルテの導入は不可能と回答しました。
費用や操作面などの懸念点解消に向け、後述する「標準型電子カルテ」の開発・普及を足掛かりに、電子カルテの普及率向上が図られると読み解けます。
標準型電子カルテと医療DX政策の動向
2025年に「地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律(地域医療介護総合確保法)」の改正に基づく法的な目標として、2030年(令和12年)12月31日までに普及率約100%の達成が規定されました。
出典:厚生労働省「電子カルテの普及について(第28回 健康・医療・介護情報利活用検討会 医療等情報利活用ワーキンググループ 資料1)P5」(https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001657580.pdf)
目標達成に向け、デジタル庁と厚生労働省が共同で「標準型電子カルテ(導入版)」の開発を進めており、2026年度中の完成を目指しています。
現行のカスタマイズされたオンプレミス型からクラウドネイティブ型への移行を促進しつつ、標準仕様に準拠した製品の認証制度も2026年夏を目途に整備される予定です。標準型電子カルテと医療DX、それぞれの動向を解説した記事も用意しているため、参考になさってください。
電子カルテ導入のメリット・デメリット
電子カルテの導入にあたっては、業務効率の向上というメリットだけでなく、コストや運用面でのデメリットも事前に把握しておくと、導入後のギャップを減らせます。
下表に主なポイントを整理したため、参考になさってください。
| メリット | デメリット |
|---|---|
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電子カルテのメリット・デメリット、それぞれの内容について詳しく解説した記事も用意しているため、参考になさってください。
状況別電子カルテの選び方チェックリスト
比較ポイントをふまえ、選び方についてチェックリスト形式で情報をまとめました。電子カルテのタイプとレセコン機能の選定の参考になさってください。
| 自院の状況 | 推奨される電子カルテタイプ(クラウド型/オンプレミス型) | 推奨されるレセコンとの連携方法(一体型/分離型(ORCA連動型※)) | 推奨ポイント |
|---|---|---|---|
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クラウド型 | 一体型 | 月額固定で費用を把握しやすく、業務フローをシンプルに構築できる |
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クラウド型 | どちらも対応可 | マルチデバイス対応のクラウド型で、場所を問わずに診療情報にアクセスできる |
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オンプレミス型 | どちらも対応可 | 連携実績が豊富で、院内環境に合わせた安定稼働が期待できる |
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どちらも対応可 | どちらも対応可 | 運用を維持しながら、コストや使い勝手改善が期待できる |
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どちらも対応可 | 分離型 | 現行のORCAを活用しながら電子カルテのみを切り替えられる |
※ORCAは日本医師会ORCA管理機構株式会社が運営する、「日医標準レセプトソフト」です。
電子カルテメーカー一覧とシェア
国内には多くの電子カルテメーカーが並んでおり、価格をはじめ製品の特長はさまざまです。導入前にメーカー比較も並行して進めると、より後悔のない選択につながります。
シェア状況の参考として、日経メディカルOnlineが2024年に実施した医師774人を対象とした調査「クリニック向け電子カルテの導入シェアランキング2024」は、以下のとおりです。
| 順位 | メーカー名 | 製品名 | タイプ |
|---|---|---|---|
| 1位 | WEMEX | Medicomシリーズ | クラウド型/ハイブリッド型 |
| 2位 | エムスリーデジカル | M3 DigiKar | クラウド型 |
| 3位 | ダイナミクス | Dynamics | オンプレミス型 |
| 4位 | ユヤマ | BrainBoxシリーズ | オオンプレミス型/クラウド型 |
| 4位 | ビー・エム・エル | Qualisシリーズ | オンプレミス型/クラウド型 |
| 6位 | メドレー | CLINICS | クラウド型 |
| 7位 | DONUTS | CLIUS | クラウド型 |
| 8位 | 富士通Japan | HOPEシリーズ | オンプレミス型/クラウド型 |
| 8位 | エムスリーソリューションズ | TOSMECシリーズ・Doctor`sDesktop3 | オンプレミス型 |
| 10位 | ※WEMEXヘルスケアシステムズ | HHi-SEEDシリーズ | オンプレミス型/クラウド型 |
| 10位 | エムアイユー | Dopanet Doctors | オンプレミス型 |
※2025年にWEMEXへ統合
出典:日経メディカル開業サポート「第24回【医師774人に聞いた】電子カルテ導入シェアランキング2024速報!2025年1月23日」(https://nm-kaigyo.nikkeihr.co.jp/career_labo/karte_enquete/024/)
なお、電子カルテメーカーに関するより詳しい内容を解説した記事も用意しているため、あわせて参考になさってください。
電子カルテ製品のご紹介
ウィーメックス株式会社(旧PHC株式会社)では、クリニック向け電子カルテとして完全クラウド型の「Medicom クラウドカルテ」と、ハイブリッド型の「Medicom-HRf Hybrid Cloud」を提供しています。
「Medicom クラウドカルテ」は、初期費用をおさえながら“本当に使いやすいクラウド型電子カルテ”として直感的な操作を実現したクラウド型電子カルテです。発売以降、機能や機器連携のアップデートを重ねており、医療DXの推進をサポートします。
▶Medicom クラウドカルテ製品ページ
「Medicom-HRf Hybrid Cloud」は、オンプレミス型とクラウド型の双方を備えた、ハイブリッド型電子カルテです。クリニックの特性にあわせたカスタマイズに対応しており、院外からでも院内と同様の環境で利用いただけます。
▶Medicom-HRf Hybrid Cloud製品ページ
両製品とも50年以上のレセコン開発実績をもとに、日々の算定やレセプト業務の負担軽減に寄与する電子カルテです。また、導入時のサポートはもちろん、アフターサービスやメンテナンスなど、担当者が対面・リモート双方で対応し、安心して使い続けていただける体制を構築しております。
電子カルテ導入の7ステップ
比較検討が終わったら、いつまでに・どのような手順で導入を進めるかを計画する必要があります。
主要な7つのステップは以下のとおりです。
- 導入の目的を整理する
- タイプを比較する
- 費用を比較する
- サポート内容を確認
- 製品を選定する
- 試験運用する
- 本稼働する
一般的に、電子カルテの選定から稼働開始まで4~5か月程度かかるとされており、開業準備中の場合は開業日の半年前から準備を始めると問題なく進められるでしょう。
電子カルテを乗り換える場合も同様のリードタイムを見込んだうえで、現行システムの契約終了時期にあわせてスケジュールを組むと移行がスムーズです。導入に関する全体の流れを解説した記事も用意しているため、参考になさってください。
電子カルテに関してよくある質問
ここからは、電子カルテの比較に関連する3つの質問を解説します。
電子カルテは義務化される?
現時点で電子カルテの導入は法的義務ではありません。ただし、2030年(令和12年)12月31日までに普及率を約100%とする目標が法令上規定されました。この目標達成に向け、標準型電子カルテの普及促進や補助金・認証制度の整備が今後進む見込みです。
早期の準備が選択肢を広げることにつながります。スケジュール感については厚生労働省の公表資料もあわせてご確認ください。
出典:厚生労働省「電子カルテの普及について(第28回 健康・医療・介護情報利活用検討会 医療等情報利活用ワーキンググループ 資料1)P12」(https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/001657580.pdf)
クラウド型とオンプレミス型はどちらがおすすめ?
どちらがよいかは、自院の状況によって異なります。
初期費用をおさえてすぐに導入したい場合や、在宅診療・複数拠点で柔軟に利用したい場合はクラウド型が向いています。
一方、医療機器との連携実績が豊富な環境を求める場合や、安定したネットワーク環境を優先する場合は、オンプレミス型も引き続き有力な選択肢です。
選び方の参考にしていただけるページをご用意しているため、判断軸の1つとしてご活用ください。
▶メディコムがご提案する失敗しない電子カルテの選び方
レセコン一体型と分離型はどちらを選べばよい?
一体型は初期費用・月額費用が1社にまとまるため、費用の全体像を把握しやすいメリットがあります。分離型は月額費用をおさえられるケースもありますが、2システム分の保守費用と連携調整コストを合算したうえで比較する必要があります。製品の資料請求や見積もりを参考に比較を進めましょう。
なお、見積書取得時のポイントをまとめたセミナーをご用意しております。実際に見積書を目の当たりにした際に、どこを見るべきかを把握しやすくなるため、ご活用ください。
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まとめ
電子カルテを比較する際は、以下5つの軸が判断の基軸といえます。
- クラウド型かオンプレミス型か
- レセコンとの連携方法
- 診療科特性との適合性
- サポート体制
- 2030年を見据えた政策動向
自院の状況に合った選択をするために、まずはカタログやお役立ち資料を取り寄せて情報を整理するところから始めてみてはいかがでしょうか。

