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  5. 診療報酬改定DXが開始!医療機関にもたらすメリットとは

診療報酬・調剤報酬 医師 事務長 2022.07.26 公開

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診療報酬改定DXが開始!医療機関にもたらすメリットとは

5月17日に自民党がまとめた「医療DX令和ビジョン2030」の中で「診療報酬改定」のDXが取り上げられています。今回は、医療現場にとって大きなメリットとなり得る「診療報酬改定DX」について解説します。

※本内容は公開日時点の情報です

#医療政策 #機器選定ポイント #システム入替

5月17日に自民党がまとめた「医療DX令和ビジョン2030」の中で、長らく医療現場およびベンダの負担となってきた「診療報酬改定」のDXが取り上げられています。診療報酬の「共通算定モジュール」の開発や「診療報酬改定時期の変更」などを実現することで、医療現場にとって大きなメリットとなり得る内容です。今回は、「診療報酬改定DX」について解説します。

「診療報酬改定」は2年に1度行われます。改定を定期的に行う理由としては、物価の変動、賃金の変動、税制改正など、医療機関を取り巻く環境の変化にキャッチアップするために行われるものです。
新型コロナの感染拡大や、大幅な円安の進行など、医療機関を取り巻く環境は大きく変化してきており、DXを活用することで、これらの様々なリスクを改善できないかという議論のもとに「診療報酬改定DX」の提言が行われています。

診療報酬改定DX

提言では、診療報酬改定DXとは、「デジタル時代に対応した診療報酬やその改定に関する作業を大幅に効率化し、SE人材の有効活用や費用の低減化を目指す」と説明しています。
長年、診療報酬改定の作業については、電子カルテおよびレセコンメーカーに大きな労力(人手)がかかってきました。診療報酬改定の度に、3月の「公示」後、資料を読み解き、ロジックに落とし、システムに反映させるという作業を約1カ月間で行い、4月1日の改定施行日に間に合わせるという綱渡りを隔年で行ってきたのです。また、改定内容は、確定後「疑義解釈」という通知によって、ロジックの明確化が図られるため、そのたびに変更作業を行う必要が出て、改定施行日の後も継続して変更作業が進められてきました。
DXを用いてこの作業を 効率化しようとするのが、診療報酬改定DXの目的です。これを実現するための具体的な施策として、「共通算定モジュールの導入」と「診療報酬改定の円滑な施行」の2点を挙げています。

共通算定モジュール

共通算定モジュールは、「医療機関やベンダの負担軽減に向けて、各ベンダが共通のものとして活用できる、診療報酬に係る『共通算定モジュール』を、厚生労働省・審査支払機関・ベンダが協力して、デジタル庁のサポートも得て作成する」としています。これが実現できれば、診療報酬改定の作業も同モジュールを更新することだけで済むようになり、ベンダの負担は大きく軽減されるとしています。
現在、支払基金より公開されている「電子点数表」から、さらにレセコンに組み込むことのできる「共通算定モジュール」へレベルアップすることで、電子カルテおよびレセコンベンダーの作業が大幅に効率化することを期待しています。
過去には、政府が「共通のレセコンを開発して配布する」「共通のレセプト点検ツールを配布する」といった計画もありました。しかしながら今回の提言では、「共通算定モジュール」という言葉を使っているところを見ると、レセコンのベースである「算定ロジック」をシステム化し公開することで、それを各ベンダが現システムに取り込むような仕組みをイメージしているように感じます。

診療報酬改定の円滑な施行

診療報酬改定は2年に1度、4月に行われますが、小さな変更は厚生労働省が定期的に通知を出すことで実施されています。 つまり、大きな改定は2年に1度、小さな変更は毎月行われていることになります。この煩雑な改定作業について、「4月施行となっている診療報酬改定の施行日を後ろ倒しし、作業集中月(Death March)を解消するとともに、モジュール作業の後戻りやミスをなくす」としています。
以前より、診療報酬改定については、「毎年行う体制にしてはどうか」「介護報酬改定は3年に1度であり整合性をとってはどうか」など議論が行われています。また、今回のような新型コロナに係る頻繁な変更も、ベンダ並び医療現場は対応することが大きな負担となってきました。

診療報酬をシンプルで簡単な仕組みに

電子カルテもレセコンも、診療報酬改定や通知の発出の度に、自動的に新点数に置き換わることが理想です。その際、改定データに不備があったりして、やり直しが発生することは現場の混乱を招きますので、くれぐれも慎重な対応が必要と考えます。自動化が進んだことによる混乱は最も避けなければならないと考えます。
また、そもそも診療報酬の算定に当たり、ロジックが複雑であるために、地域によって解釈に違いが出るような部分もあり、根本的な診療報酬の仕組みそのものの変更が必要と感じます。現在進められている審査支払側における、全国共通の点検の仕組みの構築がしっかり行われることで、医療現場の負担軽減が享受できると考えます。
共通算定モジュールの開発に合わせて、診療報酬ロジックをよりシンプルなものに変更することも併せて考えていただきたいと思います。

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著者情報

大西 大輔

大西 大輔

MICTコンサルティング(株) 代表取締役
2001年一橋大学大学院MBAコース卒業。同年、日本経営入社。2002年に医療IT製品の常設総合展示場「メディプラザ」を立上げ、IT導入コンサルティング、システム選定アドバイス、研修事業等を担当。2016年にMICTコンサルティング(株)を設立。多くの医療機関の導入サポートや取材経験より団体などでの講演や執筆多数。

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