目次
健康診断で助成金は申請できる?
健康診断には、法律で義務付けられた法定健診と、企業が任意で実施する法定外健診の2種類があります。助成金の申請可否は、法定健診か法定外健診かによって異なるため、まずはそれぞれの健康診断の概要を確認しましょう。
法定健診
法定健診は、労働安全衛生法によって企業に実施が義務付けられている健康診断です。主に次の6種類があります。
| 種類 | 対象従業員 | 実施時期 |
|---|---|---|
| 雇入時の健康診断 | 常時使用する者 | 雇入れの際 |
| 定期健康診断 | 常時使用する者 | 1年以内ごとに1回 |
| 特定業務従事者の健康診断 | 労働安全衛生規則第13条第1項第2号に定められた業務に常時従事する者 | 配置替えの際および6ヵ月以内ごとに1回 |
| 海外派遣労働者の健康診断 | 海外に6ヵ月以上派遣する者 | 海外に派遣する際および帰国後国内業務に就かせる際 |
| 給食従業員の検便 | 事業所付随の食堂や炊事場で給食の業務に従事する者 | 雇入れおよび配置替えの際 |
| 特殊健康診断 | 有害業務に常時従事する者 | 原則、雇入れ、配置替えの際および6ヵ月以内ごとに1回 |
法定健診の実施は企業の義務であり、費用も企業が負担します。そのため国の助成金では、原則として法定健診は助成金の対象としていません。ただし民間団体が運営する助成制度では、法定健診を対象としている場合もあります。
法定外健診
法定外健診とは、人間ドックなど、企業に実施義務が課せられていない健康診断を指します。法定外健診では企業に費用負担の義務がなく、国の助成金の対象になる場合があります。例えば「人材確保等支援助成金」では、人間ドックの実施を対象として、最大25万円の助成金を受けられる制度が設けられています。
また、国の助成金だけでなく、民間団体が運営する補助・助成制度でも、法定外健診を対象としているものがあります。
健康診断に関連する助成金の種類・対象費用・助成額
健康診断に関連する助成金には、いくつか種類があります。代表的なものの特徴をまとめました。
| 運営機関 | 助成金 | 対象 | 助成額(上限) |
|---|---|---|---|
| 厚生労働省 | 人材確保等支援助成金 | 人間ドックの実施 | 25万円 |
| あんしん財団 | 特殊健康診断の実施に対する補助金 | 特殊健康診断の実施 | 健診費用の2分の1 |
| 人間ドック補助金 | 人間ドックの実施 | 1人につき6,000円 | |
| トラック協会 | 定期健康診断費用の助成など(各都道府県により異なる) | ||
運営機関ごとに、それぞれの助成金の詳細を確認しましょう。
【厚生労働省】人材確保等支援助成金は人間ドックが助成対象
人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)は、厚生労働省が管轄する助成金です。健康づくり制度の導入など、雇用管理改善の取り組みを実施し、離職率の低下に取り組んだ企業を対象としています。
助成金の対象となる労働者は、事業主に直接雇用され、雇用保険の被保険者(短期雇用特例被保険者・日雇労働被保険者を除く)であるなど、所定の要件に該当する者です。
健康づくり制度では、次のすべてを満たす総合的健康診断を、希望する対象労働者に受診させた場合に助成の対象となります。
- 心臓や肝臓などの臓器の検査
- 糖、脂質代謝の検査
-
次のいずれか1つ以上を含む検査・診断
- 胃がん検診
- 子宮がん検診
- 肺がん検診
- 乳がん検診
- 大腸がん検診
- 歯周疾患検診
- 骨粗鬆症検診
- 腰痛健康診断
実施する健康診断は、受診などに要する費用の半額以上を企業が負担する必要があります。助成額は原則20万円、従業員の賃金を一定以上引き上げた場合は25万円です。
人材確保等支援助成金を受給するには、雇用管理制度等の整備に関する計画を提出し、認定を受ける必要があります。要件は変更となる可能性があるため、詳しい内容は厚生労働省のHPで確認してください。
参考:人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース) |厚生労働省
【あんしん財団】特殊健康診断・人間ドックを対象に補助を実施
あんしん財団は、中小企業の特定保険業や災害防止活動などを支援する一般財団法人です。あんしん財団では加入している会員を対象として、特殊健康診断と人間ドックの補助金を実施しています。
特殊健康診断の補助金は、受診費用の2分の1が補助対象です。加入者数に応じて1年度の補助限度額が定められています。人間ドック補助金は、1名につき6,000円を上限に、健診にかかった実費負担額が補助されます。
あんしん財団の補助金も要件が変わる可能性があるため、詳細はあんしん財団の公式サイトをご覧ください。
なお、定期健康診断を対象とした補助金制度は2024年3月で終了しました。
参考:職場の環境改善のための補助金制度について | 一般財団法人あんしん財団
【トラック協会】健康診断の受診費用などを対象に助成金を支給
各都道府県のトラック協会は、定期健康診断の受診費用を助成対象としている場合があります。例えば、東京都トラック協会ではトラック運転者である受診者1名ごとに3,000円、埼玉県トラック協会では県内の事業所に勤務するドライバーである受診者1名ごとに2,000円などです。
助成額や助成対象などはトラック協会ごとに異なるため、各協会の公式サイトをご確認ください。
助成金の申請手続きの流れ
助成金は、受給できる要件を満たしたあと、運営機関に申請すると内容が審査され、支給が決定されます。運営機関によっては、実施前に計画書を提出しなければならないケースもあるため注意しましょう。
助成金は原則として事後支給のため、事前に受給して支払いに充てる使い方はできません。ここでは、主な助成金ごとの申請手続きを解説します。
人材確保等支援助成金
人材確保等支援助成金は、対象となる人間ドックの実施前に、計画書を作成し提出する必要があります。具体的な申請の流れは次のとおりです。
- 雇用管理制度等整備計画を作成し、本社所在地を管轄する都道府県労働局へ提出する
- 計画の認定後、雇用管理制度(健康づくり制度)を導入・実施する
- 評価時離職率算定期間(計画期間終了後の12ヵ月間)の離職率を算定する
- 評価時離職率算定期間の終了後、2ヵ月以内に支給申請する
評価時離職率算定期間とは、助成金の受給要件の離職率を達成しているかを確認する期間です。人材確保等支援助成金は、雇用管理制度の導入・実施に加え、算定期間の離職率が30%以下である必要があります。
あんしん財団
あんしん財団の特殊健康診断の実施に対する補助金、人間ドック補助金は、従業員に受診させたあと、申請書に必要書類を添付して申請します。計画書の作成・提出は必要ありません。具体的な流れは次のとおりです。
- 特殊健康診断・人間ドックの受診:医療機関に予約して受診し、領収書や明細書を受け取ります。
- 申請書類の作成:所定の申請書に必要事項を記入します。人間ドック補助金の申請書は公式サイトの申請フォームから依頼する必要があるため早めに申請しましょう。
- 申請書類の提出:作成した申請書に、領収書や明細書の写しを添付してあんしん財団へ郵送します。
- 審査:提出した書類にもとづき、あんしん財団で内容が審査され、結果が通知されます。
- 補助金の受取:支給決定の通知受領後、指定の口座へ補助金が振り込まれます。
書類の提出期限は、受診日などの翌日から起算して180日以内です。申請フォームや申請書の用紙は、あんしん財団の公式サイトからご確認ください。
トラック協会(東京都トラック協会の場合)
トラック協会は都道府県ごとに手続きが異なる場合があります。ここでは例として東京都トラック協会の手続きを紹介します。
東京都トラック協会の場合、協会で実施する健康診断を受診するか否かによって手続きが異なります。
- 支部主催や本部の健康診断を受診する場合
健診機関への請求金額から助成額があらかじめ控除されるため、事業者からの申請書提出は不要です。 -
その他の健診機関で受診する場合
次の4点を提出して、協会へ補助金を申請します。- 1. 健康診断に係る助成金交付申請書
- 2. 検査医療機関が発行した請求書の写し
- 3. 検査医療機関が発行した領収書の写し
- 4. 従業員が事業所に属することを証明する書類の写し(従業員が立て替え払いをした場合)
東京都以外の道府県の手続きは、各トラック協会の公式サイトをご覧ください。
健康診断で助成金を活用するときのポイント
健康診断で助成金を活用する際には、次の4点のポイントを押さえましょう。
- 新設や廃止、要件変更など最新情報を確認する
- 健康保険組合や協会けんぽの補助制度も理解する
- 申請手続きには手間がかかるため早めに準備を始める
- 併給の可否を確認して自社により有利な助成金を選択する
それぞれのポイントを解説します。
新設や廃止、要件変更など最新情報を確認する
健康診断で使える助成金をネットで検索すると、すでに廃止された制度のサイトや記事が表示される場合があります。古い情報をもとに準備を進めると、申請できなかったり、要件が異なっていたりして受給できないケースもあるでしょう。
国の助成金を例に挙げると、職場定着支援助成金は整理統合され、2018年度から人材確保等支援助成金に変わりました。キャリアアップ助成金の健康診断制度コースは2021年度に諸手当制度等共通化コースへ統合され、2022年4月からは健康診断への助成そのものが廃止されています。
助成金は名称や対象が変わる場合が多々あります。活用する際は公式サイトで最新情報を必ず確認してください。
健康保険組合や協会けんぽの補助制度も理解する
助成金を活用する前に、健康保険組合や協会けんぽの補助制度も確認しましょう。補助制度でまかなえる費用と、まかなえない費用を整理しておくと、活用するべき助成金が分かります。
協会けんぽでは、2026年4月から健診費用の補助対象や健診内容が拡充されました。例えば、35歳から74歳の被保険者を対象に、人間ドック健診で最高25,000円が補助されるようになりました。
健康保険組合は、組合によって補助制度の内容や額が異なります。所属する健康保険組合や協会けんぽの公式サイトから、利用できる補助制度を確認しましょう。
申請手続きには手間がかかるため早めに準備を始める
助成金の申請では、書類の準備に時間や手間がかかりがちです。申請漏れやミスを防ぐためにも、早めに準備を始めましょう。提出期限を1日でも過ぎると、原則として申請を受け付けてもらえず、助成金を受給できません。
提出期限や必要書類は、助成金ごとに異なります。早めに内容を確認し、余裕をもって準備を進めましょう。
併給の可否を確認して自社により有利な助成金を選択する
複数の助成金の要件を満たす場合は、併給の可否を確認し、自社に有利なものを選びましょう。同一の事由を対象とした申請の場合、助成金の併給ができない可能性があります。
例えば人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)の場合、支給対象となる制度導入等に対して、他の助成金を申請しているときは原則として受給できません。取り組みの内容や管轄する省庁が異なれば、併用が認められるケースもありますが、確認が必要です。
ある助成金の要件を満たした場合も、すぐに申請してしまうと、他の有利な助成金が申請できなくなるおそれがあります。事前に比較検討したうえで活用する助成金を選びましょう。
助成金活用で健康診断の受診促進・費用負担軽減を実現
健康診断の助成金は、運営機関ごとに対象や助成額、申請方法が異なります。併給の可否や提出期限にも注意し、複数の制度を比較検討し自社に有利な助成金を活用しましょう。
健康診断の手配や管理業務を効率化できれば、費用だけでなく人事担当の事務作業の負担も減らせます。ウィーメックスの健診代行サービスは、健診予約の調整や結果の回収はもちろん、導入支援から進捗管理、健診機関への支払い管理までを一括でサポートし、健康診断にかかわる業務の約90%を削減可能です。
健診代行サービスで浮いた時間を、助成金の申請や従業員への受診促進に充てて、費用負担の軽減や従業員の健康増進を実現しましょう。
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