看板やサインの表現方法を見直してみませんか
店舗の看板やポスターなど、店内に一歩入るまでのアプローチは、お客さんにとって引き返そうと思えば引き返せる位置にあります。だからこそ、看板はただ目立つだけではなく、店の理念や店内の様子が表現されていることが大切です。
「どんな思いを大切に」
「どのようなサービスを提供しているか」
このことが伝わる看板にしておくことで、ドアを開けるときの不安や緊張を和らげ、店舗のサービスに関する期待度を高めることができます。
また、理念などは、文字で書いてもなかなか見てはもらえません。「人は見た目が9割」という言い方がありますが、伝えにくい理念を一番伝えやすいのは色と形です。つまり、色彩設計を加えたデザインで表すのが良い表現方法になります。
文字と背景色のコントラストに工夫を
一般的に看板において重視されるのは、目立つかどうかです。これは、「視認性」といいますが、一歩間違えば「くどい」「しつこい」という判断の対象にもなります。
目立つだけでは、「親切」「正確」「丁寧」な対応といった想いを伝えるには逆効果になりかねません。
薬局や病院の看板に使われる色に多いのが、青です。青は、体感気温を下げる色とされ、色彩心理では社会性や安心感、頼りがいを感じさせてくれるといわれています。また、日本のように湿気が強い気候では、空気中の水分が多いために光の屈折率が大きく、青や緑などの寒色がきれいに見えるという特徴もあります。
ただし、そこに黒い文字を入れると、堅苦しい印象になりがちで、寒色系同士で見えにくい看板になってしまうことも。
もし、青を基調の看板にするのなら、もう1色は黄色かピンクにするのがおすすめです。コントラストがありつつ、規則正しさと柔らかさを同時に表現することができる配色です。
なお、年齢とともに誰でも眼球の中の水晶体が黄変化という老化現象が起こり、青や緑、紫色などの寒色系が見えにくくなります。こうした高齢者の色覚では、青や緑などの濃い背景に、ピンクや黄色などの淡い文字色を入れるより、淡い地色に濃い文字色のほうが目に入りやすい傾向があります。目立つだけではなく、表現方法を工夫して、改めて薬局の看板の配色を考えてみてはいかがでしょうか。
筆者情報
飯田 暢子(いいだ のぶこ)
1985年カリフォルニア州イメージコンサルタント・ライセンス取得。1988年株式会社フラックス設立。建築に色彩心理を取り入れる色彩設計のコンセプトを構築。これまでに色彩設計を手掛けた医療・高齢者・教育施設は約60棟。インテリア色彩設計のノウハウを広めるべく、空間色彩設計士の育成講座を実施中。
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