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企業健康経営 人事・総務 2026.01.15 公開

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EAP(従業員支援プログラム)導入で変わる職場のメンタルヘルス対策とサービス選定のコツ

メンタルヘルス対策の一つとしてEAPという言葉を耳にしたことはあっても、その具体的な内容やサービスの選び方に難しさを感じる人事担当者は多いのではないでしょうか。EAPを効果的に活用して職場のメンタルヘルス課題を解決するには、まずEAPの概要を正しく把握することが重要です。本記事では、EAPの基礎知識をはじめ、内部EAPと外部EAPの違い、導入のメリット・デメリット、そしてサービス選定のポイントを解説します。

※本内容は公開日時点の情報です

#労務管理

目次

EAP(従業員支援プログラム)とは

EAP(Employee Assistance Program)とは、メンタルヘルス不調を抱える従業員を支援するための制度です。日本語では「従業員支援プログラム」または「社員支援プログラム」と訳されます。

EAPは、社内外の専門家や専門機関を活用して行うメンタルヘルスケアであり、「事業場外資源によるケア」に位置づけられます。概要は次のとおりです。

  • 目的:従業員の悩みや課題の解決、心身の健康維持・改善
  • 支援対象:従業員(管理職を含む)およびその家族
  • 支援範囲:メンタルヘルスケア、キャリア支援、コンプライアンスなど
EAP(従業員支援プログラム)導入で変わる職場のメンタルヘルス対策とサービス選定のコツ

アメリカの依存症対策プログラムとして発展

EAPはアメリカで誕生し、以下のように発展してきました。

  • 1935年:EAPの起源とされるAA(Alcoholics Anonymous、アルコール依存症の自助グループ)が設立
  • 1940〜1960年代:従業員のアルコール・薬物依存に対応するプログラムとして企業へ導入され、徐々に拡大
  • 1997年:経済誌『フォーチュン』記載の上位500社のうち、約95%がEAPを導入

日本では1980年代後半から導入が始まりました。2000年には厚生労働省が公表した「労働者の心の健康保持増進のための指針」にEAPが明記され、企業での導入が一気に広がりました。

EAPの種類とメリット・デメリット

EAPは、メンタルヘルスケアを自社で行うか外部に委託するかによって「内部EAP」と「外部EAP」に分かれます。ここでは、それぞれの概要と主なメリット・デメリットを簡潔にまとめます。

内部EAP

内部EAPは、産業医や看護師、保健師、カウンセラーなどの専門スタッフを企業内に常駐させ、カウンセリングやストレスチェックなどの取り組みを社内で一貫して行う方法です。

メリット

  • 企業の事情や風土を理解したスタッフが対応するため、業務や組織ルールに合った中長期的なケアを行いやすい
  • 別の施設に移動の手間がなく、相談しやすいほか、緊急度の高いケースにも迅速に対応しやすい

デメリット

  • 専門スタッフの雇用・配置が必要になり、人件費などのコスト負担が大きくなりがち
  • 社内の相談窓口は利用が周囲に知られる不安があり、また、全国すべての事業場に設置しにくい
  • 担当者の負荷が高まる場合がある

外部EAP

外部EAPは、社外に相談窓口を設け、EAP専門機関や外部カウンセラー、弁護士などが従業員の相談に対応する方法です。社内では扱いにくい内容も含め、幅広いテーマを外部の専門家に委ねられます。

メリット

  • メンタルヘルスやキャリア、法律問題など、多様な悩みを内容に応じて適切な専門家につなげられる
  • 第三者機関が窓口となることでプライバシーが守られやすく、社内に専門スタッフを常駐させる必要がないため、コストも抑えやすい

デメリット

  • 相談員が企業文化や組織の事情を十分に把握していないと、現場に即した支援につながりにくい場合がある
  • 緊急時の対応では社内調整が必要となるため、内部EAPと比べて初動が遅れたり、外部に任せきりになることで自社のメンタルヘルス施策への主体性が弱まったりする恐れがある

4つのケアとEAPの関係性

厚生労働省は、「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(メンタルヘルス指針)の中で、メンタルヘルスケアを次の4つに分類しています。

  • セルフケア:従業員自身による知識習得やストレス対処などの取り組み
  • ラインによるケア:管理監督者(上司)による日常の健康管理や職場環境の把握、従業員からの相談対応
  • 事業場内産業保健スタッフ等によるケア:産業医や保健師、人事・労務担当者などの社内スタッフが、セルフケアやラインケアを支援する取り組み
  • 事業場外資源によるケア:医療機関、保健所、産業保健総合支援センターなど、事業場外の専門機関や専門家による支援

EAPは、このうち「事業場外資源によるケア」に該当します。 事業場外資源によるケアを有効に機能させるには、外部の専門機関との連携を日頃から整えておくことが重要であり、従業員がケアを必要としたときに速やかに紹介・相談につなげられるネットワークを企業側が準備しておく必要があります。

出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055195_00002.html

関連記事:メンタルヘルスケアの基礎知識|4つのケアと3つの予防策

EAPの目的と重要性

近年、メンタルヘルスケアへの関心が高まる中で、EAPの重要性もいっそう高まっています。ここでは、EAPの主な目的と、その重要性について整理します。

メンタルヘルス不調の予防

EAPの第一の目的は、従業員の精神的・身体的不調を早期に把握し、重症化を防ぐことです。ストレスチェックやカウンセリングを通じて心身の状態を確認し、必要に応じて医療機関の受診につなげることで、メンタル疾患の発症や長期休職のリスクを抑えます。あわせて、EAPの利用を促すことで、従業員のメンタルヘルスへの意識向上にもつながります。

離職防止と人材定着

メンタル不調を早期にケアできれば、休職や退職に至るリスクを低減できます。勤怠不良や欠勤が増える前に支援につなげることで、働きやすい環境づくりが進み、離職リスクを下げて人材の定着を促せます。結果として、新規採用や育成にかかるコストや時間を抑え、事業運営により多くのリソースを振り向けられるようになります。

生産性の向上

EAPは、生産性向上にも寄与します。メンタルヘルス不調による集中力低下(プレゼンティーズム)を防ぐことで、従業員が本来のパフォーマンスを発揮しやすい状態を整えます。生産性や作業効率が高まれば、企業経営の安定にもつながります。

関連記事:【健康経営】プレゼンティーズム改善で生産性を高める企業の取り組みを解説

CSR(企業の社会的責任)の推進

CSR(企業の社会的責任)とは、公正や環境への配慮を踏まえた企業活動を行い、ステークホルダーに対して責任と説明責任を果たす考え方です。従業員の心身の健康を守るEAPの導入は、CSRの具体的な取り組みの一つであり、企業イメージの向上や採用力の強化など、さまざまなプラス効果をもたらします。

EAP導入の流れ

EAP導入の流れ

EAP導入の流れは次のとおりです。

  • 目的を社内で議論して整理する
  • KPIを決める
  • 自社にあったEAPサービスを選定する
  • 社内に周知する

目的を社内で議論して整理する

EAPを導入する際は、まず導入目的を社内で明確にしておくことが重要です。

目的の例
・従業員のメンタルヘルス不調の未然予防
・ストレスチェックの効果的な活用
・離職率の改善・人材定着率の向上
・産業保健体制の強化
・メンタルヘルス不調を抱える従業員への対応

「他社も導入しているから」といった理由だけに依拠するのではなく、自社の課題や目的に合うプログラムを選ぶことが欠かせません。目的の整理にあたっては、経営陣だけでなく、人事労務担当者や産業保健スタッフ、現場従業員からも情報を集め、多角的に課題を把握するとよいでしょう。

KPIを決める

導入目的とあわせてKPI(Key Performance Indicator=重要業績評価指標)も設定します。KPIは、目的の達成度や施策の効果を数値で確認するための指標です。設定後は、目標が達成できているか、従業員のメンタルヘルス不調が改善しているかを定期的に確認します。

【KPIの例】
・EAPの利用率
・メンタルヘルス不調による休職者数
・退職者数・離職率
・ストレスチェックの高ストレス者数

自社にあったEAPサービスを選定する

EAPサービス選定では、企業の課題や目的に合った内容かを見極めることが大切です。サービス範囲は健康診断やストレスチェック以外にも、カウンセリングや復職支援・ハラスメント対策など多様化しています。コスト面だけでなく、相談テーマや方法、在籍する専門家の分野や対応時間も確認しましょう。

社内に周知する

EAPを導入したあとは、目的や利用方法、提供サービスの概要を従業員にわかりやすく周知することが重要です。

従業員が安心してEAPを利用できるよう、次の点もあわせて説明すると効果的です。

  • EAPは誰でも利用でき、メンタル不調だけでなく日常の不安やプライベートの悩みも相談できること。
  • 相談内容は本人の同意なしに企業へ共有されず、利用による不利益もないこと。

さらに、人事労務担当者や管理職が実際にEAPを体験しておくと、理解が深まり、部下にも勧めやすくなります。

EAPサービス選定のコツ

EAPサービスはさまざまな企業から提供されており、やみくもに探すと、どのサービスを選ぶべきか迷ってしまいがちです。ここでは、EAPサービスを選ぶ際のポイントを3つに絞って紹介します。

保健師や産業医・カウンセラーなど専門家の有無

EAPサービスは、メンタルヘルスに精通した専門性の高い機関を選ぶことが大切です。

EAPに関連する専門家には、医師や看護師、保健師、助産師、ケアマネジャー、臨床心理士、公認心理師、産業カウンセラーなど、さまざまな職種が含まれます。相談を担当するカウンセラーやコンサルタントの専門性について、次の点から確認しましょう。

  • 保有する資格
  • 専門家としての経験年数や実績
  • 相談員としての経歴

EAPに関連する専門家には、医師や看護師、保健師、助産師、ケアマネジャー、臨床心理士、公認心理師、産業カウンセラーなど、さまざまな職種が含まれます。相談を担当するカウンセラーやコンサルタントの専門性について、次の点から確認しましょう。

サービス・サポート体制

サービス・サポート体制を確認する際は次の3点が重要です。

  • 相談できる内容の範囲
    メンタルヘルスだけでなく、身体面の不調や生活上の悩みまで相談できるか確認しましょう。心と身体の問題をあわせて相談でき、受診先やタイミングも含めて助言してもらえるサービスが望ましいです。
  • 相談方法の種類
    対面だけでなく、電話・メール・オンラインなど複数の相談方法に対応しているかをチェックしましょう。外部EAPなら、24時間対応など勤務時間外でも利用しやすい体制があると、利用率向上につながります。
  • 利用率アップのための支援サービスの有無
    外部EAPの場合、社内向けの告知ツールや周知・啓発の支援があるかも確認します。従業員への浸透を後押しする仕組みがあるほど、実際に利用してもらいやすくなるでしょう。

定期的に導入範囲やサービスを見直す

EAPは一度導入して終わりではなく、時間の経過とともに変化する従業員ニーズや働き方に合わせて見直すことが重要です。

たとえば、導入当初はストレスチェックの支援から始め、状況に応じて健康経営®や復職支援などへ範囲を広げるなど、EAPサービス提供企業と相談しながら、必要なサービスを追加・削減し、自社に合った導入範囲へ柔軟に調整していきましょう。

まとめ

EAPは、従業員の心身の健康を守り、企業の成長を支える重要なプログラムです。自社の課題に合ったサービスを選べば、離職防止や生産性向上といった効果も期待できます。

適切なサービスを選ぶには、まず自社の課題を丁寧に可視化することが大切です。ウィーメックスのストレスチェックサービスなら、事務作業の工数削減に加え、属性ごとの集団分析でメンタルヘルスの現状を把握できます。効果的なEAP導入の第一歩として、ぜひ活用をご検討ください。

※「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。


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