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企業健康経営 人事・総務 2026.01.15 公開

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健康経営における受動喫煙対策の企業対応と推進ポイントを解説

「健康経営®」を推進するうえで、受動喫煙対策は欠かせない取り組みの一つです。しかし、具体的にどのような対策を講じればよいのか、注意すべき点がわからず悩む人事担当者も多いのではないでしょうか。

本記事では、受動喫煙対策の重要性、関連する法規制、そして企業が実施すべき取り組み内容をわかりやすく解説します。全社的に効果的な対策を進めるためのポイントを押さえましょう。

※本内容は公開日時点の情報です

#労務管理

目次

なぜ今受動喫煙対策が重要なのか

まずは、受動喫煙対策が求められる背景と、その重要性について見ていきましょう。

健康経営における受動喫煙対策の企業対応と推進ポイントを解説

受動喫煙とは

受動喫煙とは、本人は喫煙しなくても身の回りのたばこの煙を吸わされてしまうことを指します。たばこの煙には、次の3種類があります。

  • 主流煙:喫煙者が吸い込む煙
  • 副流煙:たばこから立ち上る煙
  • 呼出煙:喫煙者が吐き出す煙

このうち、副流煙や呼出煙を他人が吸い込むことが受動喫煙です。とくに副流煙には主流煙より多くの有害物質が含まれており、健康への影響がより大きいとされています。

受動喫煙による健康への影響

受動喫煙が原因とされる主な健康被害は、以下のとおりです。

  • 肺がん
  • 虚血性心疾患(心臓病)
  • 脳卒中
  • 呼吸器疾患(喘息など)
  • 乳幼児突然死症候群(SIDS)

厚生労働省によれば、受動喫煙が原因で年間約15,000人が命を落としているとされています。とくに、子どもや妊婦、持病を抱える人など、健康被害を受けやすい人々への配慮が欠かせません。

出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000130674.pdf

社会的背景と企業における関心の高まり

近年、受動喫煙による健康被害がより明らかになり、対策の必要性が強く認識されるようになったことに加え、健康志向の高まりも受動喫煙対策を後押ししています。

日本では、受動喫煙のリスクへの理解が進んだことや健康的な職場環境を求める声の高まりを背景に、禁煙・分煙の仕組みづくりや喫煙環境の見直しに取り組む 企業が増えています。また、従業員の健康を経営課題として捉える健康経営が広がり、その認定要件にも受動喫煙対策が含まれています。

さらに、受動喫煙対策を進める企業は、社会的評価や求職者からの信頼を得やすく、企業イメージや採用力の向上にもつながります。2020年4月より、ハローワークの求人票でも受動喫煙防止の取り組みの明示が義務化され、職場の喫煙対策は重要な経営テーマとなっています。

関連記事:健康経営とは?注目される背景やメリットと課題、今後の展望を解説

受動喫煙防止に関する法律の変遷

受動喫煙防止に関連する主な法令として、健康増進法と労働安全衛生法があります。それぞれの改正経緯と内容を見ていきましょう。

健康増進法の制定と改正の経緯

健康増進法は、国民の健康維持・増進を目的とする法律です。2002年の制定時点では、受動喫煙防止は努力義務にとどまっていました。

しかし、2018年7月の改正により対策が段階的に義務化され、2020年4月の全面施行で受動喫煙防止は「マナー」から「ルール」へと位置づけが変わりました。さらに、2019年7月には企業が組織的に取り組めるよう「職場における受動喫煙防止のためのガイドライン」も策定されています。

2020年の全面施行内容

全面施行となった2020年4月の改正では、以下の内容が規定されました。

  • 屋内原則禁煙
  • 喫煙可能場所への20歳未満立入禁止
  • 標識掲示の義務化

また、施設種別ごとに以下のような区分が設けられています。

施設区分 概要 具体例
第一種施設 敷地内禁煙が原則 学校、病院、行政機関
第二種施設 屋内原則禁煙。喫煙室の設置は可能 事務所、工場、飲食店
喫煙目的施設 施設内で喫煙が可能 バー、たばこ販売店

労働安全衛生法との関係

労働安全衛生法は、労働者の安全と健康を守るための法律です。健康増進法との基本的な違いは次のとおりです。

法律 目的 規制対象
健康増進法 国民全体の健康向上 施設の管理者
労働安全衛生法 労働者の安全と健康の確保 企業・事業者

労働安全衛生法第68条の2では、事業者に対し、室内などでの受動喫煙を防止するため、事業場の実情に応じて適切な措置を講じるよう努めることを求めており、この規定は2015年6月から努力義務として適用されています。

職場の健康を守るためには、労働安全衛生法だけでなく、健康増進法の観点からの対策も不可欠です。

出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/content/000524718.pdf

受動喫煙対策が企業に求められる理由

受動喫煙対策が企業に求められる理由

企業が受動喫煙対策に取り組むべき理由は、法的な義務だけでなく、社会的評価の面でも大きくなっています。ここでは、その主なポイントを整理します。

法令違反による罰則や行政指導のリスク

受動喫煙対策を怠ると、行政指導や法令違反としての罰則を受ける可能性があります。以下は、健康増進法で定められている「施設等の管理権限者」を対象とした主な義務と罰則の内容です。

  • 喫煙室の技術的基準違反:50万円以下の過料
  • 標識掲示義務違反:50万円以下の過料
  • 20歳未満の者の喫煙エリアへの立ち入り:指導・助言の対象

安全配慮義務の観点

安全配慮義務とは、従業員の生命・身体の安全を損なわないよう配慮することを企業に求めるものです。受動喫煙による健康被害が生じた場合、安全配慮義務違反として損害賠償を請求されるリスクがあり、職場の喫煙環境整備は重要な経営課題といえます。

関連記事:安全配慮義務とは?根拠となる法律や事例、取り組み方を解説

企業イメージ・採用への影響

受動喫煙対策は健康経営の取り組みとして評価され、健康経営優良法人認定の要件にも含まれます。適切な対策は企業イメージや社会的信頼の向上につながり、求職者へのアピールとなることで、優秀な人材の採用・定着にも好影響をもたらします。

関連記事:【2026年度版】健康経営優良法人の変更点と認定取得のポイント

企業が実施すべき受動喫煙対策

受動喫煙防止対策を効果的に進めるには、場当たり的な対応ではなく、組織的・計画的な取り組みが欠かせません。「職場における受動喫煙防止のためのガイドライン」では、次のような取り組みが求められています。

  • 推進計画の策定
  • 担当部署の指定
  • 労働者の健康管理等
  • 標識の設置・維持管理
  • 意識啓発および情報の収集・提供
  • 募集・採用時における受動喫煙防止対策の明示

推進計画の策定

まず、自社の実情を踏まえた受動喫煙防止の推進計画を作成します。目標や時期、具体的な措置を整理し、衛生委員会などで検討して現場に合った内容にします。

担当部署の指定

推進計画がまとまったら、受動喫煙防止対策を所管する担当部署や責任者を明確にします。担当部署の主な役割は次のとおりです。

  • 従業員からの相談対応
  • 各職場の状況把握・分析・評価
  • 課題がある職場への改善指導

労働者の健康管理等

従業員の健康被害を防ぐため、定期健康診断や健康相談で健康状態を把握し、必要に応じてフォローします。あわせて、対策状況を衛生委員会などで定期的に確認し、改善につなげます。

関連記事:従業員の健康管理とは?課題とメリット、健康管理の方法とポイントを紹介

標識の設置・維持管理

禁煙・分煙エリアには、わかりやすい標識や掲示物を設置します。喫煙場所を設ける場合は、出入口など目につきやすい場所に、喫煙可能エリアや20歳未満立入禁止である旨を明示します。

厚生労働省のサイト「なくそう!望まない受動喫煙」では標識の様式が公開されており、ダウンロードして活用できます。

意識の高揚及び情報の収集・提供

受動喫煙対策を継続するには、従業員への意識啓発が欠かせません。受動喫煙や法改正の情報提供、研修、衛生委員会での検討に加え、外部の相談窓口や出前講座なども活用します。

募集・採用時における受動喫煙防止対策の明示

従業員募集や求人の申込み時には、職場の受動喫煙防止対策を求人票などに明示します。全面禁煙、原則禁煙+喫煙専用室あり、屋内喫煙可などの区分を示すことで、求職者が職場環境を理解しやすくなります。

求人票には、次のいずれかを記載する必要があります。

  • 敷地内または屋内を全面禁煙としていること
  • 屋内を原則禁煙とし、喫煙専用室等を設けていること
  • 屋内で喫煙が可能であること
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/content/000524718.pdf
   厚生労働省ホームページ(https://jyudokitsuen.mhlw.go.jp/sign/

受動喫煙対策の推進ポイント

受動喫煙対策を効果的に進めるには、自社の状況に合わせていくつかのポイントを押さえることが重要です。

補助金の活用

中小企業であれば、国の「受動喫煙防止対策助成金」を活用できる可能性があります。飲食店であれば喫煙室の設置費用の3分の2(それ以外の業種は2分の1)、最大で100万円の助成を受けられる場合があります。

喫煙専用室と加熱式たばこ専用喫煙室の違い

喫煙専用室は喫煙のみ可能、加熱式たばこ専用喫煙室は加熱式たばこに限り飲食も可能という違いがあります。屋内に喫煙エリアを設ける際は、この区別を踏まえて設置方法を検討します。

従業員の不満への対応

喫煙者が席を外す時間や喫煙後のニオイ・有害物質をめぐり、非喫煙者の不満が生じやすい点にも配慮が必要です。敷地内・就業時間中の禁煙ルールの設定など、運用ルールを明確にすることが対策の土台になります。

就業規則への明記

就業規則に就業時間中の喫煙ルールや違反時の扱いを明記しておくと、喫煙者・非喫煙者間のトラブルを防ぎやすくなります。社内ルールとして明文化しておくことで、受動喫煙対策を安定して運用しやすくなります。

まとめ

本記事では、法令対応から職場環境づくりまで、受動喫煙対策の重要性と具体的な進め方を整理してきました。自社だけで健康管理体制を構築・運用するのが難しい場合は、専門サービスの活用が有効です。

ウィーメックスの特定保健指導サービスは、健診結果に基づき生活習慣の改善をサポートできるため、喫煙を含む生活習慣全般の見直しに役立ちます。

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あわせて、ストレスチェックサービスを活用することで、メンタルヘルス不調や職場環境の課題も早期に把握でき、受動喫煙対策と併せた総合的な健康管理体制の構築につながります。受動喫煙対策とともに従業員の健康支援策を強化したい企業は、ぜひ導入をご検討ください。

※「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。


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