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企業健康経営 人事・総務 2025.12.05 公開

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【保存版】安全衛生委員会の設置義務|構成メンバー・進め方・テーマ設定まで網羅

一定規模以上の企業では、安全衛生委員会の設置が法律で義務づけられています。人事担当者は構成メンバーとして参画したり、運営を支援したりすることが多く、委員会を円滑に進行させるためには、その設置義務や基本的な仕組みを正しく理解しておくことが重要です。
本記事では、安全衛生委員会の設置義務をはじめ、構成メンバーの役割、会議の進め方、テーマ設定のポイントまで、実務担当者が押さえておきたい内容を詳しく解説します。

※本内容は公開日時点の情報です

#労務管理

目次

安全衛生委員会とは

労働安全衛生法では、一定の条件に該当する事業場において、安全委員会と衛生委員会の設置が義務づけられています。安全衛生委員会とは、この2つの委員会を統合したものであり、両方の設置義務がある場合には1つの委員会で代替することができます。もちろん、安全委員会と衛生委員会をそれぞれ別に設置することも可能ですが、一般的には安全衛生委員会としてまとめて運営するケースが多く見られます。

ここからは、安全衛生委員会の目的や設置義務、運営のルールについて詳しく見ていきましょう。

安全衛生委員会とは

安全衛生委員会を設置・開催する目的

安全衛生委員会は、従業員が安心して働ける職場づくりを目的として、安全面と衛生面の両方から労働環境を整備するための組織です。

安全委員会は主に従業員の安全確保や労働災害の防止を担い、物理的な観点からの安全対策を協議します。一方、衛生委員会は作業環境の改善や健康障害の防止など、従業員の健康維持を中心に協議します。

安全衛生委員会では、この両方の目的を一体的に扱い、1回の会議で安全・衛生の双方に関する課題を検討できます。また、委員会は企業側が一方的に決定を下す場ではなく、労使が協力して安全衛生活動に取り組むことを重視しています。

安全衛生委員会の設置義務

衛生委員会は、常時使用する労働者が50人以上の事業場で設置が義務づけられており、業種による違いはありません。

一方、安全委員会の設置義務は業種によって基準が異なります。従業員数が50人以上または100人以上の事業場に設置が必要な場合があり、危険の少ない業種では義務がありません。結果として、安全委員会の設置が必要な事業場では、衛生委員会の設置義務も同時に発生することになります。

以下の表は、安全委員会と衛生委員会の設置義務を業種ごとに整理したものです。

業種 従業員数 安全委員会 衛生委員会
全業種 50人未満 なし なし
業種① 50人以上 あり あり
業種② 50人以上100人未満 なし
業種② 100人以上 あり
業種①②以外 50人以上 なし

※業種①:林業、鉱業、建設業、製造業の一部(木材・木製品、化学、鉄鋼、金属製品、輸送用機械器具など)、運送業の一部(道路貨物運送、港湾運送)、自動車整備業、機械修理業、清掃業

※業種②:製造業・運送業のうち業種①以外、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売・小売業、家具・建具・じゅう器関連業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業

出典:厚生労働省リーフレット(https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/0902-2a.pdf

安全衛生委員会における法的ルール

安全衛生委員会は、毎月1回以上の頻度で開催することが義務づけられています。開催のたびに議事録を作成し、少なくとも3年間保管しなければなりません。議事録には、開催日時、出席者、議題、決定事項などを漏れなく記録する必要があります。場合によっては労働基準監督署から確認を求められることもあるため、記録管理には注意が必要です。

また、委員会での議事内容や決定事項は、すべての従業員に対して確実に周知することが求められます。

安全衛生委員会の構成メンバー

安全衛生委員会の構成メンバーは、労働安全衛生法によって定められています。ここでは、具体的にどのような人が委員会に参加するのかを見ていきましょう。

統括安全衛生管理者又は事業の実施を統括管理する者若しくはこれに準ずる者

統括安全衛生管理者は、安全と衛生の両面に関して事業場全体を統括・管理する役割を担います。特別な資格は不要ですが、一定規模以上の事業場では選任が義務づけられています。

基準としては、屋外産業的業種は常時100名以上、屋内産業的業種工業的業種は常時300名以上、屋内産業的業種非工業的業種は常時1,000名以上の場合に1名専任する必要があります。安全衛生委員会では、統括安全衛生責任者が議長を務めるのが一般的です。

安全管理者

安全管理者は、従業員の安全確保に関する技術的事項を専門的に管理する役割を担います。常時50人以上の労働者を使用する事業場では安全管理者の選任が義務づけられています。業種と規模に応じて選任義務が生じる職種であり、一定の知識や資格が必要です。
学歴や実務経験などに関する要件が設けられており、専門性が求められます。

安全衛生委員会には、安全管理者の中から少なくとも1名以上がメンバーとして選出されます。

衛生管理者

衛生管理者は、従業員の健康保持や作業環境の衛生管理を担当します。常時50人以上の労働者を使用する事業場では選任が義務づけられています。事業場の規模に応じて必要人数が定められており、最大6名の選任が必要になる場合もあります。

衛生管理者も資格要件があり、専門的な知識をもとに業務を行います。安全衛生委員会には、安全管理者と同様、1名以上が選出されます。

産業医

産業医は、従業員の健康管理を担う医師です。常時50人以上の従業員を使用する事業場では、産業医の選任が義務となります。毎月1回以上の職場巡視を行い、問題点があれば人事担当者や経営者へ報告します。また、長時間労働者や高ストレス者への面接指導も行います。

安全衛生委員会では、職場巡視の結果や健康管理上の課題に関して、専門的観点から意見を述べます。

従業員代表

従業員代表は、事業場で働く従業員の中から1名以上を選出します。資格要件はとくにありませんが、職場環境への理解が深く、安全・衛生に関する知識や経験を持つ人が望ましいとされています。従業員の立場から意見を述べ、現場目線で改善を進める役割を果たします。

構成メンバーの選任方法

構成メンバーのうち、統括安全衛生責任者は通常1名のみの選任であるため、自動的に委員として決まります。

その他の構成メンバーは、複数の候補がいる場合、事業者が指名します。ただし、委員会の構成においては「従業員側の委員が全体の半数以上」でなければなりません。従業員側の委員は、労働組合または過半数代表者の推薦に基づいて選出されます。

この仕組みは、労使が一体となって安全衛生に関する課題を話し合い、現場の意見を委員会運営に反映させることを目的としています。

なお、安全衛生委員会の構成メンバーの任期については、法律上の明確な規定はありません。しかし、1〜2年を目安に改選することが望ましいとされています。定期的にメンバーを入れ替えることで、より多様な意見や視点を委員会に取り入れられます。

安全衛生委員会開催のための準備

安全衛生委員会開催のための準備

安全衛生委員会を円滑に開催するためには、事前の準備が欠かせません。ここでは、開催までに整えておくべき主な事項を整理します。

年間計画の作成

安全衛生委員会は、原則として毎月1回開催する必要があります。月初めにその都度日程を決めても構いませんが、年度初めに1年間の開催スケジュールをまとめて設定しておくと、運営がスムーズになります。また、各回で扱うテーマについても、あらかじめ年間計画に盛り込んでおくと効果的です。

ただし、業務状況や社内行事により日程を変更する場合や、新たな課題が発生してテーマを追加する場合もあります。柔軟に対応できるよう、四半期や半期ごとにスケジュールや内容を見直すようにしましょう。

安全衛生委員会規程の作成

安全衛生委員会規程とは、委員会の運営ルールを明文化した文書です。主に議事の進め方や決定の方法、緊急時の対応などを定めます。そのほか、協議や決議を行ううえで必要な事項があれば、社内ルールとして明記しておくとよいでしょう。

安全衛生委員会では、経営側・従業員側それぞれ異なる立場のメンバーが参加するため、明確なルールを設けておくことが重要です。ルールを定めておくことで、議事進行を円滑にし、責任の所在を明確にできます。

安全衛生委員会の進め方

安全衛生委員会の進め方については、法律上の明確な定めはありません。そのため、各事業場の状況に応じて、柔軟に運営方法を決めることができます。ここでは、一般的な進行の流れを例に説明します。

産業医による報告

産業医は、月に1回以上の頻度(事業者の同意を得ている場合は少なくとも2か月に1回)で職場巡視を行い、その結果を安全衛生委員会で報告します。報告内容には、危険箇所や衛生面での問題点などから、従業員の健康障害を防止するために必要な措置などが含まれます。

また、長時間労働者やメンタル不調者に対する面談(産業医面接)を実施した場合は、その人数や実施内容についても報告します。

計画の実施状況の確認

安全衛生年間計画や取り組みの進捗状況を確認します。計画が順調に実施されていない場合には、原因を明らかにし、改善策を検討することが重要です。業務の状況に応じて、計画の内容を修正することもあります。

一方で、予定通りに実施できている項目については成果を共有し、今後の課題の洗い出しや次のステップの検討を行いましょう。

テーマについての協議

安全衛生委員会では、毎回あらかじめ設定したテーマについて協議します。テーマは季節的なものや社会的関心の高い内容、または自社で発生した課題などをもとに決めるのが一般的です。労働災害防止のために注意すべき点や、今後の取り組み方針を明確にすることが目的です。

現場で働く従業員でなければわからない実情も多いため、従業員代表の意見を尊重しながら進行しましょう。現場の実感と専門的な知見を掛け合わせることで、より実効性のある施策を策定できます。

議長によるまとめ

会議の最後には、議長が報告内容や協議を整理し、決定事項を確認します。決定事項の実施に向けた具体的な対応方法や留意点も、この段階で共有しておくと良いでしょう。また、次回開催予定日や議題の方向性についても簡単に確認しておくと、継続的な運営がスムーズになります。

安全衛生委員会のテーマ設定

安全衛生委員会では、毎回の会議で協議するテーマをあらかじめ設定しておくことが重要です。ここでは、実務でよく扱われるテーマの例を紹介します。

健康診断やストレスチェックの結果を踏まえた内容

定期健康診断やストレスチェックの実施後は、その結果を基にしたテーマを設定するのが効果的です。たとえば、健康診断で特定の数値が悪化していた場合は、その改善策を検討します。また、ストレスチェック結果を踏まえて職場環境の改善やメンタルヘルス対策を協議することも一般的です。

実際のデータをもとに検討することで、具体的で実効性の高い施策を打ち出せます。

季節に応じたテーマ

季節ごとのリスクに応じたテーマは、安全衛生委員会で定番として取り上げられます。
夏場は熱中症対策、冬場はインフルエンザやノロウイルスなどの感染症対策が代表的です。前年までの発生状況や社内の対応事例を共有し、改善策を検討しましょう。

また、台風や大雪など自然災害時の対応方針を確認することも重要です。適切な対応ができないと労働災害や通勤災害につながるおそれがあるため、あらかじめ企業としての対応方針を決めておきましょう。

時事的なテーマ

社会的に注目されている事故や安全衛生上のトピックをテーマに取り上げるのも効果的です。最近報道された労働災害など、自社と関連のある事案から学ぶことで、事故防止につながります。

また、感染症の流行時(例:2020年の新型コロナウイルス対策)や、安全衛生に関連する法改正が行われた際の対応方針も重要なテーマとして扱われます。

自社で抱えている問題の解決策

実際に自社で発生した労働災害や、ヒヤリハット(労働災害には至らなかったが危険を感じた事例)がある場合、その原因分析と再発防止策を協議することが必要です。また、各業界特有の健康問題をテーマにするケースもあります。

たとえば、運輸業では重量物運搬に伴う腰痛対策、IT業界では長時間のパソコン作業による眼精疲労対策などが代表的です。現場の実態に即したテーマ設定を行うことで、より効果的な改善活動が実現します。

まとめ

安全衛生委員会は、自社の職場環境における安全・衛生の実態を確認し、問題点を改善するための重要な場です。労働災害の防止や従業員の健康維持に直結するため、毎月欠かさず開催し、委員会で決定した内容は確実に実行することが求められます。

一方で、従業員の健康管理に関わる業務は幅広く、人事担当者の負担が大きくなりがちです。ウィーメックスでは、企業の健康診断やストレスチェックなど従業員の健康管理を支援するソリューションを提供しています。従業員の健康管理業務をサポートし、担当者の負担軽減と効率的な運用を実現できます。

興味をお持ちの方は、ぜひこの機会にお問い合わせください。


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