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クリニック開業 医師 事務長 2023.12.25 公開

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診療圏調査の見方は?やり方や注意点を紹介

診療圏調査は、医療機関を新たに開設するにあたって候補地を決める上での大切な指標となります。新規開業の成功は精度の高い診療圏調査を行って推計患者数の算出も含めた的確な分析ができたかどうかにかかっているといってもよいでしょう。誤った分析をすると予測していた来院患者数を大幅に下回り、経営の継続が困難になるケースも少なくありません。そこで今回は、診療圏調査のやり方や注意点、注目すべきことについて詳しく解説します。

※本内容は公開日時点の情報です

#開業検討 #開業地選定

目次

診療圏調査とは

診療圏調査とは、医療機関をその土地に開設した場合、1日にどの程度の来院患者を見込むことができるか把握するための調査のことです。1日の見込み患者数を「推計患者数」と呼び、医療機関を開設する候補地のポテンシャルともいえる指標と考えられます。精度の高い診療圏調査を行って候補地を決めることが、医療機関開設の成功の鍵を握るといっても過言ではありません。

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推計患者数の算出方法

診療圏調査を行うには、第一に「商圏」を設定する必要があります。商圏とは、来院が見込める患者さんが居住するエリアのことです。

精度の高い診療圏調査を行うには、地域の実態に合った商圏を設定することが非常に重要とされています。商圏は、同心円の距離で設定するケースと車による到着時間で設定するケースがあります。それぞれどのような特徴があるのか詳しく見てみましょう。

商圏の設定①同心円

医療機関からの直線距離 同心円(イメージ)

商圏の設定方法の一つとして、医療機関からの単純な直線距離のみで同心円を描いて設定する方法が挙げられます。一般的には半径1km前後で設定しますが、推計患者数は競合の医療機関や生活動線に左右されるため、必ずしも正確な評価はできないと考えられています。

また、診療科によっても適切な同心円の範囲は異なります。緊急での受診が必要なケースが多い内科などは同心円の範囲が狭くなりますが、緊急での受診が必要ではないような診療科では自宅から離れた医療機関を受診する場合も多いため同心円の範囲は広くなります。

商圏の設定②車による到着時間

車による到着時間の範囲(イメージ)

自家用車がメインの交通手段となる地方都市では、同心円による商圏の設定は実態を反映しない可能性があります。地方都市の商圏を設定するには、自家用車での生活動線を重視して、車による到着時間の範囲で商圏も設定し、同心円による商圏と合わせて総合的に判断するのが一般的です。

診療圏設定の注意点

範囲を広く設定すれば、推計患者数が多くなるわけではない

商圏を設定する際に範囲は広くするほど推計患者数が多くなるわけではありません。商圏の範囲に競合の医療機関があればその分推計患者数は少なくなります。一方、競合が少ない医療過疎地では範囲を広くすると推計患者数が多くなるケースも少なくありません。また、上述したように緊急での受診が必要な診療科と必要ではない診療科によって範囲は異なります。

商圏を設定する際には、競合医療機関の有無、診療科などによって適切な範囲を決めることが大切です。

患者さんの来院範囲は生活動線の影響を受ける

適切な商圏の範囲は地域の生活動線にも大きな影響を受けます。具体的には、周囲に人出の多い商業施設があるか、複数路線が発着する利用者数が多い駅があるか、車や徒歩でのアクセスがよいか、といったことが挙げられます。

人出が多く、アクセスがよいエリアはそれだけ人が集まりやすいため、推計患者数は多くなります。一方、訪れる機会が少ないエリアやアクセスが悪いエリアなどは生活動線の範囲外になるため、推計患者数は少なくなると考えられます。

診療圏調査は競合医療機関の調査がポイント

推計患者数の算出時の注意点

推計患者数は設定した商圏の人口に受診率を掛けた数値を科目別競合医療機関+1(自院)で割って算出します。つまり、推計患者数を算出するには競合医療機関数が重要になるのです。

一方で、医療機関の状況は日々変化するため、医療機関のデータベースが最新の状況を反映していない場合があります。新たに閉院、開院している医療機関も珍しくなく、また地域住民から信頼が高い医療機関も低い医療機関も算出上は同じ「1」となります。

単純な数値だけで推計患者数を算出することはできないと考えましょう。

競合医療機関の実態把握が必要

推計患者数は単純な人口、受診率、科目別競合医療機関数から算出されます。しかし、上述したように、より精度の高い推計患者数を予測するには競合医療機関のメインとなる診療科目、1日あたりの来院数、休診日、医師の推定年齢や専門性などの細かい分析が必要です。

診療圏調査では精度の高い推計患者数を求めるために、以下のような項目を係数化してカウントする場合もあります。

医療機関 ○○クリニック ▽▽クリニック ■■医院
診療科目 内科、外科 内科、外科、皮膚科 内科、小児科
所在地 ○○町 ▽▽町 ■■町
休診日 土、日、祝 水、日
管理医師名 ○○ ○○ ▽▽ ▽▽ ■■ ■■
医師数 1 3 1
管理医師年齢 45 79 39
専門医 総合内科専門医 外科専門医 小児科専門医
備考 閉院予定 2カ月前に開業

※メインの診療科以外を同時に標榜している場合がある
※管理医師が恒例の場合は、後継者の有無も確認をする
※データベースにない新たな閉院・開院情報も確認する

診療圏調査のレポートの見方とポイント

商圏のエリアを設定し、競合医療機関の実態把握を行うと診療圏調査のレポートを作成することができます。一般的には、以下のような項目に分けてレポートが作られます。

  • ①診療圏設定
  • ②エリア人口構成
  • ③競合医療機関数
  • ④新規医療機関の推計患者数

それぞれどのような点に注意して分析すればよいか詳しく見てみましょう。

各項目の内容

上で説明したように、診療圏調査レポートは大きく分けると、診療圏設定・エリア人口構成・競合医療機関数・新規医療機関の推計患者数の4項目で構成されます。

①診療圏設定 同心円または車到達時間で定めた商圏の分断要員を反映します。
②エリア人口構成 商圏内の年齢別の人口構成を示します。住宅地であれば居住者の人口を反映されます。
一方、オフィス街など居住者が少ないエリアでは通勤者などを含めた昼間の人口を反映されることもありますので、エリアの属性を分析することが大切です。
③競合医療機関数 原則的に1医療機関を「1」としてカウントします。
精度の高い推計患者数を算出するには各医療機関の属性を分析して係数化して算出するケースも少なくありません。
④新規医療機関の推計患者数 一日あたりに見込める外来患者数を推計したものです。
診療圏設定、エリア人口、競合医療機関数を総合的に分析することで推計することができます。あくまでも理論上の数値となりますが、新規医療機関を開設する場合の事業計画における一つの指標となるでしょう。

エリア人口の確認が必要

診療圏調査による推計患者数は調査時に新規医療機関を該当エリアで開設した場合の予測値に過ぎません。調査時の推計が正しかったとしても、人口構成が変化すれば当然ながら住民の受診行動も変化します。医療機関の運営は長期的な視野が必要であり、エリアの人口構成を正しく把握することも大切です。また、エリア内の人口自体が少ない場合は今後新たな医療機関が開設されると影響を受けやすいと考えられます。

基本的に、同心円(半径1km圏内)内には3万以上の人口があり、人口構成のバランスがよいエリアでの新規開設が望ましいといえるでしょう。

推計患者数以外のレポート

推計患者数以外のレポート

医療機関の新規開設を計画する上で大切なのは、推計患者数だけではなく人口構成が予定する医療機関の供給とマッチしているかを確認することです。そのためには、男女別・年齢層別の人口データを分析しましょう。

20~30代の人口が男女とも平均より多い、小児数が平均より少ない、中年層が若者より少ない、といった客観的なデータは新規開設計画の上で大切な指標となります。具体的には、若い世代が多いため将来的にも医療の需要は高まっていく可能性が高いこと、小児を対象とした医療の需要は低く今後高まる見込みは不明なことなどが推測できます。これらの分析を活かして予定地を決めることも新規開設を成功させる上で大切です。

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精度が高い診療圏調査を行って開設予定地を決定するのと同時に、医療機関に導入するシステムの検討も始めましょう。

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診療圏調査が成功への近道

新たな医療機関の開設を予定している場合は、実態に即した診療圏調査を行うことが成功への近道です。診療圏調査は単に人口や受診率などで算出しても正確な推計患者数は算出できません。医療機関は立地や属性によって来院患者数が左右されるケースも多いため、慎重な判断が必要です。それぞれのエリアの実態をよく分析して、思い描く医療機関のニーズが高いエリアを探すようにしましょう。

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