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企業健康経営 人事・総務 2025.11.27 公開

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ストレスマネジメントで職場改善!企業・個人のやり方と取り組むメリットを解説

メンタルヘルス対策は、現代の重要な経営課題の一つです。従業員の心身の健康を守り、企業の活力を高めるためには「ストレスマネジメント」が欠かせません。
この記事では、ストレスの基礎知識やストレスマネジメントのメリット、具体的な実践方法を詳しく解説します。自社のメンタルヘルスケアを効果的に推進するためのヒントをぜひご覧ください。

※本内容は公開日時点の情報です

#労務管理

目次

ストレスマネジメントとは

ストレスマネジメントとは、心身に悪影響を及ぼすストレスを適切に管理し、主体的にストレスと向き合う取り組みのことです。ストレスの原因を軽減したり、ストレスによる緊張や反応を和らげたりする工夫を行い、包括的にストレスへ働きかけることを意味します。

現代では、多くの人が仕事で強いストレスを感じています。過度なストレスで心身の健康を損なわないためには、ストレスマネジメントが重要です。

ストレスマネジメントとは

ストレッサーの種類とストレス反応

ストレスは、外部からの刺激である「ストレッサー」と、ストレッサーによって心身に生じる「ストレス反応」から構成されています。私たちはストレッサーの影響を和らげるために、コーピングというストレス対処行動を取ります。コーピングとは、ストレスを感じた際に「原因を取り除く」「気持ちを切り替える」など、自分なりの方法で対処しようとする行動や思考のことです。

ストレッサーはストレスの原因となるもので、主な分類は以下の5つです。

  • 物理的ストレッサー:暑さ・寒さ、騒音、混雑など環境によるもの
  • 化学的ストレッサー:公害物質、薬物、アルコールなど化学物質によるもの
  • 生物的ストレッサー:病気、睡眠不足、体調不良など身体的なもの
  • 心理的ストレッサー:納期や成果へのプレッシャー、過重業務量など
  • 社会的ストレッサー:家庭環境や人間関係、社会変化など

日常で「ストレス」と呼ばれるものは、主に心理的・社会的ストレッサーを指します。ストレス反応とは、ストレッサーに適応しようとして心や身体に生じる変化のことです。以下の3つに分けられます。

  • 心理面:イライラや不安、気分の落ち込み
  • 身体面:頭痛や疲労感、不眠や食欲不振
  • 行動面:飲酒量の増加、仕事でのミス、遅刻や欠勤
関連記事:ストレッサーとは?種類や具体例、職場で行うべき対処法を解説

職場で感じるストレスと特徴

職場では、業務の内容や量、人間関係、働き方の変化など、さまざまな要因からストレスが生じます。働き方が多様化している現代では、従業員が感じるストレスの種類も多岐にわたります。ここでは、職場でストレスを感じている労働者の割合と、その特徴を見ていきましょう。

ストレスを感じる労働者の割合

厚生労働省の「令和6年労働安全衛生調査」によると、仕事や職業生活で強い不安やストレスを感じている従業員の割合は68.3%に上ります。従業員が感じる主なストレス要因は以下のとおりです。

  • 仕事の量:43.2%
  • 仕事の質:26.4%
  • 対人関係(セクハラ・パワハラを含む):26.1%
  • 仕事の失敗・責任の発生等:36.2%
  • 会社の将来性:22.2%

男女ともに、「仕事の量」にストレスを感じる割合が最も高くなっており、こうした原因を正確に把握し、組織として対策を講じることが重要です。

職場ストレスの特徴

働き方や職場環境の変化に伴い、職場のストレスは多様化・分散化しています。ここでは、その主な特徴を3つ紹介します。

  • キャリアに対する悩み
    キャリアの選択肢が増えたことで、「自らの意思でキャリアを選ばなければならない」ことにストレスや迷いを感じる人もいます。自律的なキャリア形成が求められる現代ならではの課題です。
  • 人間関係の希薄化とコミュニケーション不足
    リモートワークの普及により、気軽に相談できる相手がいないと感じる人が増えています。対人関係(セクハラ・パワハラを含む)も依然として大きなストレス要因です。
  • 業務・責任の増大
    労働安全衛生調査では、「仕事の失敗・責任の発生等」や「仕事の量」がストレスの主な要因として上位に挙げられています。
出典:厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/r06-46-50_gaikyo.pdf

ストレスと関連する病気とは

ストレスが過度であったり、長期間続いたりすると、心身に深刻な悪影響を及ぼす可能性があります。ここでは、ストレスに関連する主な病気について解説します。

メンタルヘルス不調

過度なストレスは、メンタルヘルス不調を引き起こす原因となります。強いストレスを受けたり、ストレス状態が長く続いたりすると、ストレス反応が慢性化し、活気や集中力の低下、イライラや不安感などの症状が現れます。いわゆる「うつ」状態に陥る場合もあります。

次のような症状が続く従業員は早めに専門家につなげることが大切です。

  • 気分の落ち込み
  • 趣味や活動への興味の低下
  • 睡眠障害
  • 疲れやすさ

業務上の強いストレスが原因で精神障害を発症した場合、労災として認定されることもあります。従業員の健康が損なわれるだけでなく、企業の評価や信頼にも影響を及ぼす可能性があります。したがって、メンタルヘルス不調は企業が最優先で対応すべき課題の一つです。

関連記事:うつ病で従業員が休職した場合はどうする?対応方法や給料や手当について解説

ストレス関連疾患(心身症)

ストレス関連疾患(心身症)とは、発症や経過にストレスが関与し、身体に機能的な障害が生じる疾患を指します。代表的なストレス関連疾患の例は以下のとおりです。

分類 代表的な疾患例
呼吸器系 気管支喘息、過敏気道症候群
循環器系 本態性高血圧症、冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)
消化器系 胃・十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群
内分泌・代謝系 糖尿病、単純性肥満症
神経・筋肉系 筋収縮性頭痛(緊張型頭痛)、腰痛症
皮膚科領域 慢性蕁麻疹、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症
歯科・口腔外科領域 顎関節症

表に挙げた疾患がすべてストレスによって発症するとは限りません。しかし、ストレスが身体面の不調に影響している場合、ストレス状態の改善によって症状が軽減する可能性があります。

ストレスマネジメントに取り組むメリット

ストレスマネジメントに取り組むメリット

企業が従業員のストレスマネジメントを推進することには、多くのメリットがあります。ここでは、従業員と企業それぞれの利点を見ていきましょう。

従業員のメリット

ストレスマネジメントによる従業員のメリットは、主に次の3点です。

  • ストレス状態への気づき
  • 心身の健康維持と病気の予防
    メンタル不調(うつ病など)だけでなく、高血圧や糖尿病といったストレス関連疾患の予防にも効果的です。
  • 仕事のパフォーマンス向上

企業のメリット

ストレスマネジメントによる企業のメリットも多岐にわたります。主な3点を挙げます。

  • 人材の定着
    ストレスマネジメントを導入することで、メンタルヘルス不調に起因する休職や離職を防止できます。従業員が長く健康に働ける職場づくりに寄与します。
  • 生産性の向上
  • 職場環境の改善・活性化

個人で取り組むストレスマネジメントのやり方

メンタルヘルス対策の基本は、従業員自身による「セルフケア」です。企業としては、従業員がセルフケアに主体的に取り組めるよう支援することが求められます。ここでは、個人で実践できるストレスマネジメントの方法を紹介します。

関連記事:セルフケアとは?メンタルヘルスケアの重要性と推進のポイント

セルフモニタリング

セルフモニタリングとは、自分の心身の状態を客観的に観察し、把握する取り組みです。継続的に行うことで、ストレスの原因や反応の傾向を理解し、適切な対処法を見つけやすくなります。

具体的な方法は次のとおりです。

  • 心身の状態を書き出す
  • 活動記録表やコラム法を用いる
  • 「こころの温度計」をイメージする
  • Webサイトのセルフチェックツールを活用する

ストレスコーピング

ストレスコーピングとは、ストレスの原因に向き合い、うまく対処するための行動です。状況に応じて「問題焦点型」「情動焦点型」の2つの方法を使い分けます。

  • 問題焦点型コーピング
    ストレッサー自体に働きかけ、問題の解決を図る方法です。たとえば、業務量が負担となっている場合、上司に相談して調整してもらうなどが挙げられます。
  • 情動焦点型コーピング
    ストレッサーに対する自分の感じ方や捉え方を変える方法です。信頼できる人に相談したり、カウンセリングを受けたりして心の整理を行います。

職場で取り組むストレスマネジメントのやり方

ストレスマネジメントは従業員任せにせず、企業が主体的に取り組むことが重要です。ここでは、企業が実践できる3つの方法を紹介します。

ストレスチェック

ストレスチェックは、従業員が自身のストレスに気づき、セルフケアにつなげるための取り組みです。調査票を用いてストレス状態を把握し、本人に結果を通知します。

結果として「高ストレス者」と判定された従業員から申し出があった場合、企業は医師による面談指導を実施する義務があります。

労働安全衛生法により、常時50人以上の従業員を雇用する事業場では、年1回のストレスチェック実施が義務付けられています。今後は、50人未満の事業場にも義務が拡大される見通しであり、その重要性はより一層高まっています。

関連記事:ストレスチェックは会社の義務!対象者や実施の流れを解説

メンタルヘルス研修

ストレスマネジメント研修やメンタルヘルス研修など、外部研修を活用することも有効です。対象に応じた内容設計が効果を左右します。

  • 従業員向け(セルフケア研修)
    従業員一人ひとりのストレス対処力を高める研修です。ストレスへの気づき、予防・対処法、相談する重要性などを学びます。
  • 管理監督者向け(ラインケア研修)
    部下の「いつもと違う」変化を早期に察知し、適切に対応するための方法を学びます。部下からの相談対応や職場環境改善、産業保健スタッフとの連携方法などを含みます。

メンタルヘルス研修は、一度きりでなく計画的・継続的に実施することが肝要です。社内体制での実施が難しい場合、外部機関の研修を利用するのも良い選択でしょう。

関連記事:メンタルヘルス研修はなぜ必要?実施するメリットや効果を高める方法も解説

産業保健スタッフとの協業

産業医、保健師、衛生管理者など産業保健スタッフは、専門的な知見からセルフケアやラインケアを支援します。協働できる主な内容は次のとおりです。

  • 相談体制の構築と対応
    専門家による相談体制を整備し、従業員が安心して相談できる環境を整えます。
  • 職場復帰支援
    主治医や関係者と連携し、メンタルヘルス不調で休業した従業員の復職をサポートします。
  • 計画策定と推進
    「心の健康づくり計画」の策定やストレスチェックの実施・結果活用に関して、専門的な助言を行います。
関連記事:産業医がストレスチェックを実施するメリットとは?面接指導の流れも解説

まとめ

多くの従業員がストレスを抱える現代において、ストレスマネジメントはもはや個人だけの問題ではなく、企業が経営課題として取り組むべきテーマです。効果的なストレスマネジメントを実現するためには、従業員のストレス状況を正確に把握し、適切な対策につなげることが重要です。

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