2. クリニック(医院)承継とは
クリニック承継とは、他人が運営するクリニックを引き継いで開業をすることを指しますが、承継する相手や形態によって以下のようにいくつかのパターンに分かれます。
(1)承継元に関して
①親族間承継
まずは親族間承継です。親族がクリニックを運営していなくてはなりませんので限られた方のみの選択肢となります。メリットの例は以下です。
- 【計画的に承継を進めることができる点】例えばオペレーションの観点では、週に一度のアルバイトとして勤務を始めて徐々に勤務時間を増やしていくことができます。また節税の観点では相続や贈与にかかる税額を計算して、場合によっては法人の形態を変えることも可能です。
- 【悪意ある売却者ではないと確実にわかる点】隠していた借金があったり係争中の問題があったりすることはほぼないと言えます。
- 【譲渡対価(営業権)や仲介手数料がかからない点】ただし税理士と相談をして進める必要はあり、相続税や贈与税はかかる可能性はあります。
②第三者承継
一方で、仲介会社などに依頼をして、第三者が運営しているクリニックを承継する場合です。メリットの例は以下です。
- 自身の希望するエリアや診療科目の案件を探すことができる点
- 交渉にあたり万が一揉めてしまっても、辞退をすれば遺恨がない点
- 承継後、両親の顔をうかがわずに自分の好きなようにクリニックのモデルや体制を決めることができる点
(2)承継する法人の開設形態について
①個人クリニック
医療法人の形態になっていなく、医師個人が運営をしているクリニックとなります。個人クリニックはあくまでも個人となるので、契約や許認可は自然とは引き継がれません。よって契約書で譲渡する内容を細かく取り決めて譲渡を行います。スタッフに関しても、一度旧院長のクリニックから退職をして承継する院長と新たに雇用契約を結ぶこととなります。
②医療法人のクリニックについて
一方で医療法人はクリニックの資産や各種契約や許認可を持っている医療法人を譲受することになります。方法としては、出資持分(平成19年4月以降の場合は基金)の譲渡とともに、医療法人の最高決定機関の社員総会と理事会のメンバーの入れ替えによって行うことが多いです。